発電機の AVR(Automatic Voltage Regulator, 自動電圧調整装置) と APFR(Automatic Power Factor Regulator, 自動力率調整装置) の違いについて教えて下さい。
AVRは自動電圧調整装置(Auto Voltage Regulator)で同機器の励磁装置に設置され電圧を調整する装置です。ここでは、発電機のAVRを取り上げて説明します。基本的には、発電機端子電圧を設定された電圧に調整するため、励磁回路の界磁電流を調整します。 AVR機能には、通常運転時は電圧の変化に応じて無効電力の分担を決める調定率を持たせて運転することが多く、速度調定率で縦軸に周波数、横軸に出力(有効電力)が規定されていると同様に、縦軸に電圧、横軸に無効電力(横軸は定格皮相電力を100%と見なす)で規定されます。この調定率は、横流を補償(抑制)する効果として作用するため、横流補償器(Cross-current Compensator、C.C.C)と呼ばれています。 このC.C.Cが、どのように横流補償を行うかと言えば、C.C.Cは無効電力を横流補償値に従って電圧に換算して、検出電圧に補正値として加わります。例えば、2機の発電機が自立して並列運転していた時に、一方が進相運転、もう一方が遅相運転で横流が流れているとします。C.C.Cは、進相運転に対しては検出電圧を下げ方向に補正し、遅相運転に対しては上げ方向補正しますので、設定電圧に対して進相運転時は検出電圧が低く、AVRは上げ指令を出して進相側から遅れ無効電力を増やして遅相となり、遅相運転時は検出電圧が高く、AVRは下げ指令を出して遅れ無効電力を減らして横流を抑制することができます。 発電機出口に昇圧変圧器を有している場合は、この変圧器がC.C.Cと同じ働きをしますので、C.C.Cの設定を下げることができます。 APFR(Auto Power Factor regulater)は、力率(Power Factor)を設定値に制御するAVRの機能です。APFRは、有効電力に対して力率が一定になるように無効電力を調整するため、AVRの電圧設定を上下させます。遅れ力率で設定されている場合、有効電力が増加すると力率を一定にするよう遅れ無効電力を増やす必要がありますので、APFRからAVRの電圧設定に上げ指令が出ます。有効電力が減った場合は、逆にAPFRからAVRの電圧設定に下げ指令が出ます。APFRは、電圧を制御しませんので、受電並列や他の発電機が電圧を制御する場合にのみ選択が可能で、基本的には受電解列時は、APFRからAVRモードに切り替える必要があります。他に、出力が定格の10~20%以下になった場合に、APFRが下げ指令を出すと界磁喪失保護リレーが動作する領域まで、制御されてしまうため、この時もAVRモードに切り替える必要があります。