短絡電流を正しく計算し、短絡電流および高圧モータ始動電流を考慮した保護協調について教えて下さい。
この事例は、短絡電流、あるいは電動機の始動電流および始動時間、瞬低再始動時の一斉始動電流に対して、過電流継電器の保護協調がとれていないことにより、上流系統の過電流継電器が事故系統の継電器よりも早く動作してしまい停電に至った事例だと思います。 保護協調を正しく行うためには、① 短絡電流を求める(保護協調では、事故点に向かって保護継電器を流れる通過事故電流 “Through Fault Current” を求める)② 負荷電流を求める(機器の定格電流だけでなく、電動機の始動電流と始動時間、場合によっては瞬低再始動時の一斉始動電流を求める) ③ 保護継電器やヒューズなど保護装置の動作特性、設定方法を正しく理解する ④ その上で、etapのようなツールを活用して保護協調図を作成する、という手順になります。
保護協調は 「②<継電器の設定値<①」 という条件を満たすことが必要です。
短絡電流計算については、「Q&Aゾーン」よりキーワード「短絡電流」で検索してみて下さい。これまでに下記の5件の Q&A(質疑応答)がアップロードされています。
- 2020-0001 短絡電流計算手法、規格および便利なツール
- 2020-0002 IEC規格による短絡電流計算手法
- 2020-0003 短絡電流計算結果と保護装置の遮断責務の評価
- 2020-0004 短絡電流計算結果が保護装置の遮断能力に対して大きい場合の対応策
- 2020-0005 IECによる短絡電流計算結果と手計算による計算結果の比較
電動機の始動電流および始動時間の計算については、まだ Q&A(質疑応答)のアップロードはありませんが、etap の電動機始動プログラムで計算することができます。 更に、短絡電流計算は短絡電流プログラムで、瞬低再始動時の一斉始動電流は過渡安定度プログラムで、保護協調は etap Star プログラムを用いて検討、作図、動作の検証をすることができます。(etap については株式会社エルテクス設計にお問合せ下さい)
下図は、etap による電動機始動電流および始動時間との保護協調(左図)、瞬低再始動時の一斉始動電流との保護協調(右図)の例です。ご参考にして下さい。