高調波抑制装置として用いられるアクティブフィルタについて ① アクティブフィルタとは(概要) ② アクティブフィルタの用途(目的)などについて説明して下さい。
ご質問の ① アクティブフィルタとは(概要)② アクティブフィルタの用途(目的)について説明します。 関連資料についても紹介しますのでご参考にして下さい。
1.アクティブフィルタとは(概要)
電力系統に高調波電流が流出すると電圧波形にひずみが生じ、電力機器や負荷機器にさまざまな影響を及ぼす。 このため、高調波電流を発生する機器を有する需要家は、高調波流出電流が、ガイドラインの上限値を超える場合には、それを上限値以下になるような対策をとる必要がある。 その対策方法にはいくつかあるが、その中の一つにアクティブフィルタ (Active Filter:AF) がある。
図1 は電力用アクティブフィルタ (AF) の機能説明図、図2 は各部の電流波形例で、一相分について示したものである。
負荷電流 (iL) を検出し、それから除去ないしは抑制すべき電流 ( ih) を取り出す回路が障害電流検出装置である。補償電流発生装置は、ih に等しい補償電流 (iC) を配電線に供給する回路であり、半導体スイッチング素子を用いた電力変換器で構成される。
このようにAFはPWM制御のインバータを主体とする半導体電力変換器によって、負荷の発生する高調波と逆位相で同じ大きさの高調波電流を発生させ、負荷の高調波を打ち消し、電源の高調波電流を抑制するものである。
2.アクティブフィルタの用途(目的)
AFは任意の次数の高調波に対応でき、位相や振幅が変化する高調波電流を吸収できるなどの特性のほか、電力系統のインピーダンスに影響されず、高調波負荷の増大に対して過負荷にならないなどの特長を持っている。
このため、LCフィルタなどの “受動的” な高調波対策に比べて、時々刻々変化する系統条件に対しても良好な補償特性を得ることが出来る。 一方、AFは電力変換器を用いているので、コストが高いという課題がある。 このようなことから、AFはLCフィルタでは対策が難しい箇所で用いられることが多い。
<参考> 各種高調波対策方法の比較 (三菱高調波対策機器)
http://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/capa/k-k06-3-c9176/K-K06-3-C9176-B.pdf
また、高調波対策(高調波抑制方法)およびLCフィルタの例につきましては、質問番号 2020-0045「高調波対策(高調波抑制方法)」をご参照下さい。
(名古屋工業大学 准教授 青木 睦 記)