国内規格による配電盤と海外規格 (IEC) による配電盤の構造および安全設計の違いについて教えて下さい。 また、アークフラッシュ対策との関係についても説明して下さい。
国内規格と海外規格(IEC)による配電盤の構造および安全設計の違いについて、図1「海外の配電盤の構造と安全設計」をご参照下さい。国内では、JEM規格で金属閉鎖形スイッチギア(M/C : Metal-Clad Switchgear)として規定されています。 海外製の金属閉鎖形スイッチギアは、盤内でアーク短絡しても盤上部の放圧装置で放圧して扉が破損しないように設計されています。(国内規格では、盤上部に放圧装置を設置するよう規定されていない) 図1 配電盤の構造と安全設計
アークフラッシュ対策として、これまでに下記の 質問番号(Q&A)がアップロードされています。
- 2020-0015 アークフラッシュ対策とは、どのようなことでしょうか?
- 2020-0016 アークフラッシュ計算手法、規格、および便利なツール
- 2020-0017 アークフラッシュ計算結果の評価方法と対応策
- 2020-0018 アークフラッシュ用の防護服の購入方法
- 2020-0030 IEC によるアークフラッシュ計算手法
これらの 質問番号(Q&A)は、配電盤の扉を開いて、活線作業をしている時にアーク短絡事故が生じた場合に、アーク電流の大きさとそれを遮断するまでの時間(事故除去時間)、および事故点からの距離との関係から生じる事故エネルギーの大きさを求め、その事故エネルギーから作業員を守るための対策を講じるための規定です。これらのアークフラッシュ対策を講じていても、扉を閉じて運転中に盤内でアーク短絡事故が生じた場合に配電盤の扉が壊れてしまっては、付近を巡視点検している運転員がケガをする恐れがあります。
国内の配電盤(金属閉鎖形スイッチギア)は、アーク短絡事故を考慮して設計されていない(盤上部に放圧装置を設置していない)、海外製の金属閉鎖形スイッチギアは、盤内でアーク短絡しても盤上部の放圧装置で放圧して扉が破損しないよう設計されている、という違いがあります。
(エンジニアリング会社の方からの回答です)