受電の過電流継電器と合わせるとなると、実効値の方が良いと思いますが、
変圧器メーカーの励磁突入電流の特性曲線は波高値で記載されております。
波高値÷√2で実効値に変換してプロットした方が良いでしょうか?
保護継電器は、基本波の実効値を検出して動作します[1] 。図1は、質問番号 2021-0094「保護協調の必要性と作図」で紹介した「電動機系統の保護協調の例」です。保護装置の動作電流値、電動機の電流値、短絡電流値、およびケーブルのダメージカーブなどを実効値でプロットしています。
図2は、質問番号 2021-0138 「突入電流とは?」 で紹介した 「変圧器の励磁突入電流」の例 です。
変圧器の励磁突入電流などの第1波波高値(ピーク値)による保護継電器の誤動作防止について検討する場合は、保護協調図とは別に、① 変圧器の励磁突入電流の特性曲線などのデータをメーカーから入手する ② EMTPのような瞬時値ソフトウェアで計算する、あるいは ③ etapのような実効値ソフトウェアで計算して√2倍して求め、保護継電器の瞬時要素の設定値を検討することが必要です。
最後に、ご質問に対する回答になりますが、変圧器メーカーより励磁突入電流の特性曲線受領した場合、下記のような検討に活用することが必要と言えます。
(1) メーカーより受領した変圧器の励磁突入電流の特性曲線を必ずしも保護協調図にプロットしなくても良い。
(2) 肝要なことは変圧器の励磁突入電流の特性曲線を保護協調図にプロットすることではなく、突入電流の第1波波高値(ピーク値)による保護継電器の誤動作防止および機器強度についてしっかり検討することである。
(3) 場合によっては、質問番号 2021-0139および2021-0140で説明したように、変圧器の励磁突入電流を抑制するような対策が必要である。
Note : 項目 (1)~(3) について、<追加回答> もご参照下さい。
(参考資料)
[1] 電流の検出する値について「よくある質問」三菱電機 FA
http://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/13114?category_id=798&site_domain=default
[2] Inrush-Limiter T1 興電舎製品カタログ
http://inrush-limiter.jp/wp-content/themes/inrush-limiter/images/download/PA003-1905.pdf
(電気エンジニアのためのQ&Aコミュニティ事務局 亀田)