避雷器およびSPDの選定方法について説明します。
1. 避雷器の選定
避雷器は「屋内用」,「屋外用」に区分されており,「屋外用」はさらに「一般用」,「耐塩用」,「重耐塩用」に分けられています。避雷器を設置する場所に応じて,適切な種類の避雷器を選定する必要があります。詳細は音羽電気工業(https://www.otowadenki.co.jp/)の資料を参考にしてください。
また,適切に避雷器を選定するためには,設置場所の環境に加え,施設の重要度や雷撃頻度を調査し,把握しておく必要があります。特に冬季雷地域など,避雷器に加わる負荷が大きくなることが想定される場所に設置する場合,公称放電電流の大きい避雷器を使用することが推奨されます。この方法で十分でないような場合には,「公称放電電流が大きく,かつ,電圧-電流特性が同じであるキャップレス避雷器を並列施設する方法」を用いることで,避雷器1台当たりの処理エネルギーを低減することができます。
2. SPD の選定
SPD には電源用 SPD と通信・信号用 SPD があり,被保護回路に応じて適切に選定する必要があります。IEC や JIS では,雷保護ゾーン(LPZ)に応じて,図1 のように SPD を設置することが推奨されています。
電源用 SPD は,クラス I,クラス II,クラス III に区分されます。基本的には,直撃雷想定する必要がある場合にクラス I SPDを選定します。クラス I SPDに外線や接地から流入する電流の多くを流し,クラス II SPDとクラス III SPDには,被保護機器の耐電圧以下に電圧を制限させ,かつ,雷電流をほとんど流させない動作協調が理想です。想定する雷電流の大きさや,その建築物等に引き込まれている導体の数,接地抵抗によって,適切な電流耐量の SPD を選定する必要があります。
通信・信号用 SPD は,誘導雷対応のカテゴリー C2 と直撃・誘導雷対応のカテゴリー D1 の2つに区分されますが,最新の通信回線用 SPD は,JIS C 5381-21 に規定されるカテゴリー D1 の要求を満たすものが主流です。カテゴリー D1 は C2 の要求を満たしているため,カテゴリー C2/D1 と表記されている場合もあります。SPD を選定する場合は,あらかじめ雷発生時に被保護機器に加わる電圧(インパルス耐電圧)を把握し,電圧保護レベル(制限電圧)が機器の耐電圧以下となるSPDを選定する必要があります。適切なSPDの選定と設置には,メーカーの資料などを参考にするとともに,相談することが望ましいです。
詳細は「SPD・避雷器と耐雷トランスを用いた雷保護」オーム社(2015−6)に記載されているのでご参照下さい。
(中部大学 教授 山本和男 記)