配電盤の制御電源の設計にあたり、配電盤のCB動作と操作電源用のバッテリー容量(放電パターン)の関係で注意すべき事項はどのようなことでしょうか?
配電盤には、スプリングチャージ方式の遮断器 (Circuit Breaker : CB)を使うケースがほとんどだと思いますが、外部から供給するDC電源を利用してこのタイプのCBの動作を行う場合、通常次のような動作が一般的です。
1. 定常時
開でも閉であってもラッチ式(機械的保持)のため、CBの保持に必要な電力は、通常はDC電源の電力消費はなく、表示ランプや保護リレー等の電力として、極限られた電力だけです。
2. CB トリップ時 (Close => Open)
トリップコイルが動作して接点が開きます。Spring Charge用Motorは動きません。
例 (110Vの場合)
* トリップコイル動作電流 3.5 Amp for 0.04 sec.
3. CB クローズ時(Open => Close)
クローズコイルが動作し主接点が閉、Spring Charge用Motorが作動してスプリングを巻き上げます。
例(110Vの場合)
* クローズコイル動作 3.5 Amp for 0.04 sec.
* Spring Charge Motor の起動電流 2.5 Amp for 0.1 sec.
* Spring Charge Motor の動作電流 0.9 Amp for 5 sec.
(Note)
トリップ後にスプリングを巻き上げるものがたまにあります。実際のCBの動作を、都度確認してください。
このように、① 配電盤の表示ランプや保護リレー等の消費電力、② トリップコイルおよびクローズコイルの動作電流、③ Spring Charge Motor の起動電流および動作電流などのデータを電機メーカーから入手して設計することが必要です。
4. Trip => Close => Trip の動作
巻き上げられたスプリングだけで、次の巻き上げなしで、Trip => Close => Trip の動作が可能です (よって巻き上げの電源は不要)。
通常の変電設備の場合、停電中に開閉動作を行う必要のあるCBは限定されており長時間バックアップが必要なバッテリーの容量に比べて電力的には微々たるものです。またCBのクローズは、一台一台状態を確認して手動で行うのが通常のため、複数台のCBを同時にCloseするのは試運転等、特殊な場合のみ発生しますが、この場合主電源は生きているのでバッテリーからの供給は不要です。
以上より、一般的には通常運転時の現実的なCBの動作で、バッテリーの容量を決めれば良いと言えます。しかし、化学工場などで、① 瞬低(瞬時電圧低下)後に複数の電動機などを同時スタートしたり、順序スタートする場合、② プロセスインターロックなどによって連動してスタート、ストップする電動機がなどある場合、③ 2回線受電系統などで1回線系統が停電した場合に電源系統の切り替えが行われ、瞬低と同じような現象になり、複数の電動機などが同時スタートしたり、順序スタートする場合など、実際に起こりうる状態を考慮して設計することが必要です。この場合、バッテリーへの主電源(交流入力電源)が生きているかどうかを考慮することも重要です。
(エンジニアリング会社の方からの回答です)