受電の過電流継電器と合わせるとなると、実効値の方が良いと思いますが、
変圧器メーカーの励磁突入電流の特性曲線は波高値で記載されております。
波高値÷√2で実効値に変換してプロットした方が良いでしょうか?
最初の回答に対して、回答中の項目 (1)~(3) について、コメントとアドバイスがありましたので <追加回答> します。
(1) メーカーより受領した変圧器の励磁突入電流の特性曲線を必ずしも保護協調図にプロットしなくても良い。
<追加回答>
励磁突入電流は、一般的に大きさが定格電流の 6~10倍程度(場合によっては数十倍に達することもある)、減衰時間特性は、ピークの持続時間が 1~2サイクル、定格電流に落ち着くまで 2~3秒かかります。保護継電器の誤動作防止の検討のために、多くの企業では,① メーカーから提示された励磁突入電流データそのもの(瞬時値)、および 保護装置の瞬時要素の特性曲線を保護協調図にプロットして評価していると考えられます。
(2) 肝要なことは変圧器の励磁突入電流の特性曲線を保護協調図にプロットすることではなく、突入電流の第1波波高値(ピーク値)による保護継電器の誤動作防止および機器強度についてしっかり検討することである。
<追加回答>
保護継電器の誤動作防止 および、機器強度(変圧器一次側のヒューズ劣化、真相コンデンサや交流フィルタの過負荷、並列共振による過電圧、直列リアクトルの飽和など)についての検討が必要です。変圧器については、メーカーが変圧器を設計するにあたり,変圧器自身の励磁突入電流によって強度が脅かされるような設計をすることは無いと考えられます。ただし,使用開始後に外部短絡等のダメージを負った変圧器はこの限りではありません。
(3) 場合によっては、質問番号 2021-0139および2021-0140で説明したように、変圧器の励磁突入電流を抑制するような対策が必要である。
<追加回答>
励磁突入電流を抑制するためには,少なからず費用を要するので,このような選択は最終手段です。変圧器を導入する計画段階から励磁突入電流の抑制を視野におく需要家はありませんが、保護継電器の誤動作などのトラブルが生じた場合に、最終手段としての対応策となります。
お願い:
この質疑応答に対する皆様からのコメントおよびアドバイスのご投稿をお願いします。皆様の会社ではどのような対応策を講じているかなど、皆様の経験をご紹介して頂けましたら幸いです。なお、変圧器の励磁突入電流などのトラブルに対する対応策を実務上検討される場合は、電機メーカーやコンサルティング会社にご相談されることをお勧めします。
(電気エンジニアのためのQ&Aコミュニティ事務局 亀田)