変圧器B種接地線に流れる漏洩電流の大きさを監視対象とすることで絶縁不良を早期に発見する事が出来ますが、実際には絶縁不良個所が無いのにも関わらず漏洩電流が大きくなることがあります。この原因についてはインバータ等の高調波が原因とされておりますが具体的にどういったプロセスで見かけ上の漏洩電流が増えるのでしょうか?
参考文献 [1] にありますように,配線,インバータ,モータと大地の間には,わずかな静電容量が存在します。 静電容量のリアクタンスは 1/ωC となりますので,低次の高調波に対しては,これらの静電容量はほとんど影響がありませんが,インバータのキャリア周波数成分の高い周波数成分(数kHz~数十kHz)に対しては,ω が大きくなり,リアクタンス 1/ωC が小さくなります。 このため,この静電容量を通って流れる漏洩電流が増加します。
参考文献:
[1] インバータ FREQROL-A700シリーズ – MITSUBISHI
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/melco-a700/book/melco-a700-P0085.pdf
(名古屋工業大学 准教授 青木 睦 記)
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以下、電機メーカーの方からの追加回答です。
インバータを2次巻線の中性点が接地されている系統に絶縁変圧器なしで接続すると,インバータのコモンモード電圧 [1] により,インバータやケーブルの静電容量を通して発生するコモンモード電流が変圧器の中性点に流れます。この原理については,以下の論文 [2] などを参照願います。
参考文献:
[1] コモンモード / ノーマルモード (common mode / normal mode)
http://t-sato.in.coocan.jp/terms/common-mode.html
[2] Grounding Method for Voltage Source Type Inverter and Motor’s Common Mode Voltage, Satoshi Miyazaki, Toshiaki Kudo, IPEC 2005.
(電機メーカーの方からの回答です)