負荷の大部分が誘導電動機や電熱負荷であった時代には、各相間の負荷バランスに気をつければ(中性線には大きな不平衡電流が流れないので)N相導体は相導体の半分のサイズでも良いと考えられていました。 しかし、近年は高調波発生源である整流回路やインバータ等を含む負荷が多くを占めるようになり、N相にはこれらによる第3次高調波電流が加算された大きな電流が流れることが多くなりました。
多様な負荷に給電するケースでは、「負荷の詳細が明らかでなければN相導体のサイズは線路導体(相導体)と同じサイズとする」 ことが推奨されています。 高調波発生源となる負荷が特に多い場合には、N相導体を線路導体よりも大きな電流容量をもつサイズにすることが必要になることもあります。
参考: IEC60364-5-52 (2009) では、3相4線低圧回路のN相(中性線)導体のサイズ選定について、詳細な回路情報が得られない場合には次のような考えで選定することを推奨しています。
- 線路導体が16mm2(アルミ導体は25mm2)以下のN相導体は、少なくとも線路導体と同じサイズとする。
- 線路導体が16mm2よりも大きなサイズであっても、第3次(その奇数倍を含む)高調波電流が15~33%の回路(例えば、蛍光灯などの放電ランプを含む照明器具に給電する回路)のN相導体は、少なくとも線路導体と同じサイズとする。
- 第3次高調波電流が33%を超える回路(IT機器用回路等)では、N相導体は線路導体の電流(基本周波数電流)の1.45倍の電流を流すことができるサイズとする。 多心ケーブルの線路導体は(このようにして選定した)N相導体と同じサイズ、単心ケーブルの場合には線路導体はN相導体よりも小さなサイズでも良い。
- 線路導体が16mm2よりも大きなサイズである場合には、次のすべての条件が同時に満たされていれば、N相導体は線路導体よりも小さなサイズ(ただし線路導体サイズの50%以上)でも良い。
- 各相の負荷が均等に分担されていて、第3次高調波電流が線路電流の15%以下である。
- N相導体が適切に過電流保護されている。
- N相導体が16mm2よりも大きなサイズである。
(エンジニアリング会社関連の方からの回答です)
Kameda Kazuyuki Edited answer