電気エンジニアのための Q&A コミュニティの Web Site から〔接地〕あるいは〔地絡〕のキーワードで検索すると約60項目の質疑応答を見ることが出来ます。〔接地〕および〔地絡〕に関する個々のテーマについては、Q&A Community Site で参照することにしますが、「接地技術の体系と構成要素」について、分かりやすく説明した資料がありましたらご紹介して下さい。
2025年3月発刊の Q&A 350 Book で、第1章〔故障電流計算と保護〕で地絡保護について、第13章 〔接地と保護〕で感電と感電対策に始まり、接地の目的、接地工事、接地抵抗測定方法、等電位ボンディングなどについての質疑応答を掲載していますので参照して下さい。
ここでは、「接地の世界」[1] というテーマで、ご依頼のテーマについて楽しく、分かり易く説明してくれている、「電気設備学会誌」[2] に掲載されている資料をご紹介します。
この資料は、➀ プロローグとして、「エレクトロニクス万能の時代にあって、接地は、人命、財産の安全確保のためばかりではなく、エレクトロニクス化されているICT機器の安定した稼働を保証するために重要な役割を担っています」という事から始まり、② 接地のエピソードあれこれ(接地の用語の語源、低圧電路の接地方式の記号Tの由来、等電位ボンディングのボンディングという用語についてのエピソード、接地の原点、接地工事及び接地抵抗に関する法律の変遷など)、③ 接地技術の体系化に向けて(接地技術の体系と構成要素についての説明)、④ 接地技術の普及活動(接地工学研究会の創設)、⑤ 感電の話(IEC規格の感電電流の安全限界曲線をオーストリアのビーゲルマイヤー氏が、ご自身の人体実験を基に作ったという話)、そして、⑥ エピローグと続きます。
この資料の中で、私が最も心に残ったのは、エピローグの 「工高、高専、大学において、〔接地〕を学ぶ機会はほとんどありません。 企業に就職して初めて〔接地〕を知り、その難しさ、奥の深さを痛感するらしいです。」 という所です。接地は、人命の保護と設備の保護の両面から、なくてはならない技術と言えます。このQ&AコミュニティのWeb Siteにも約60項目もの質疑応答がアップロードされているように、分からないことが沢山あります。 改めて「接地と保護」について学び直してみたいと思います。
参考文献:
[1] 接地の世界:「電気設備学会誌」2016 年 10 月号(J. IEIE Jpn. Vol. 36 No. 10)のPage 736(48)~741(53) 参照
[2] 電気設備学会誌: 電気設備に関する技術の向上と普及を目的として活動している「一般社団法人電気設備学会(The Institute of Electrical Installation Engineers of Japan : IEIEJ)」が発行している学術誌