等電位ボンディングの意味および必要性、等電位ボンディングできない場合の対応策などについて教えて下さい。
建物への落雷時には、建物内部の金属製部材や設備機器間で電位差が発生し、火花放電の発生や感電の危険性、または設備機器類の絶縁破壊の危険性などが生じます。また近傍への落雷時に建物に引き込まれている電力線や通信線、接地線を通じて雷サージ(雷の影響により発生する異常電圧・電流)が侵入し、電気・電子機器類の絶縁破壊を生じる場合があります。
等電位ボンディングは、JIS Z 9290-3 における「内部雷保護システム」と JIS Z 9290-4 の「電気設備の保護」にまたがって関連する考え方になります。具体的には電位差を抑制するために建物内の金属製部材や設備機器間を、直接、導体等により接続して「等電位化(等電位ボンディング)」を図ります。ただし、
① 電力線、通信線など常時電気が流れている回路は勿論、直接導体を接続することはできません。(短絡、地絡に至る)
このような直接的に等電位ボンディングできない箇所は、SPD(Surge Protective Device : サージ防護デバイス)という「常時は絶縁状態であり、雷サージのような異常電圧の発生時のみ動作(導通)しサージ電流を放流する」機能を持つデバイスを介して接地システムに接続します。
② またB種接地極やその他、単独接地する必要のある個別の機能用接地極がある場合も、直接導体を接地システムに接続し、等電位ボンディングを図る訳にいきません。
このような場合には接地間用の SPD を用いて接地極間を接続し、雷サージによる電位差が発生した場合にのみ接地極間を短絡(接続)させる方法が効果的です。
このように、直接的にボンディング出来ない箇所が電気設備には必ず存在するため、① ② に示す SPD を用いた等電位化の考え方が必要になります。また、「電気設備技術基準の解釈」第18条や、その他関連箇所も確認します。
ちなみに SPD は Surge Protective Device の略称であり従来から「避雷器」「保安器」「アレスタ」などと呼ばれていた雷保護装置の内、JIS C 5381-11(低圧電源用SPD)、JIS C 5381-21(通信用SPD)に準拠して設計・製作されたものの総称になります。
「JIS Z 9290-4:雷保護-第4部 : 建築物等内の電気及び電子システム」などを参考に電力線、通信線など侵入経路ごとに発生する雷サージの大きさ、保護対象機器の耐電圧を考慮して SPD を選定し、LPZ (Lightning Protection Zone : 雷保護ゾーン) の考え方を採用して多段階に設置することが効果的といえます。
(電機メーカーの方からの回答です)