低圧側回路で地絡が発生した場合、高圧側回路が接地されていると、低圧地絡回路→大地→高圧回路→変圧器→低圧回路 という感じでループができてしまうと思ったのですが、変圧器で絶縁されているのでループはできないと教わりました。これがイマイチ納得できません。
電気回路において高圧と低圧回路の結合は変圧器の変圧器作用による接続です。電磁気結合 (V=4.44fφN) により接続されてます。
低圧側回路で地絡が発生した場合、高圧回路側から当該地絡エネルギー(電流)が供給されることになるが高圧回路の接地とは電磁気的な結合を介していることで低圧回路の地絡電流は低圧回路の接地点にしか流れないことになる(もしも、低圧回路が「一端が直接接地」して地絡電流が流れて低圧回路の電圧が下がったとしても前記と同じことがいえる)。低圧回路の地絡エネルギー(電流)は小さいことから高圧回路の電圧低下はなく、高圧ケーブル等の対地充電電流の影響も非常に小さい。よって、低圧回路の地絡事故では高圧回路の地絡電流は流れない。
しかし、低圧回路で一点地絡事故から健全相電位が√3倍以上に上昇して、更にもう1相が経年劣化などにより地絡すれば異相地絡事故(二相地絡)になり大きな短絡電流になる。この場合、低圧回路から高圧回路に影響が出て変圧器インピーダンス等を考えた回路的なループ゚が出来る。
質問番号 2021-0111「工場電気設備の低圧系統の接地」との関連ですが、Δ-Y結線の変圧器で Y巻線の「中性点高抵抗接地(2.5A接地、10A接地)していれば低圧回路の電圧降下は無く安全である。Y-ΔでΔ巻線の「一端を直接接地」した場合、数十A以上の地絡電流が流れて火災・感電などの危険がある(高圧/低圧変圧器、低圧ケーブル回路、接地抵抗のインピーダンスで決まる電流が流れる)。地絡RyのELBが経年劣化で故障した場合、MCBしか動作しなくなり大事故至る恐れがある。
(産業用電気設備関係の方からの回答です)