質問番号2022-0183でJICAの再生可能エネルギー分野における取組みについて紹介して頂きました。引き続き、JICAのエンジニアとして、若手電気エンジニアに伝えたいこと、心構えなどについて教えて下さい。
私自身は過去30年近くに亘り、国内外で特に送配電・再エネ分野のエンジニアとして活動する機会を得て、現在は JICA の国際協力専門員として、途上国支援に携わっています。様々な業種でご活躍されている若手電気エンジニアの方々が、今後業務を進めていく上での一助になればと思い、若手電気エンジニアの方に伝えたいこと、心構えなどについてご紹介させて頂きます。
1. 技術は日進月歩
従来、電力分野は電気工学の中でも比較的進歩の遅い技術領域と考えられていましたが、近年の脱炭素化に向けたエネルギー・トランジションを目の当たりにして、AI や IoT 技術との融合、また運輸・交通分野との連携も加速し、多くの新しい技術が研究・開発段階から実証段階へと進められています。このように幅広い分野において、日進月歩で技術開発が進められるなか、現場第一線でご活躍されている皆様におかれましては、ご自身の担当業務に捉われることなく、その周辺領域へとご関心分野を広げて頂き、またできる限り現場でそれら最新技術に触れる機会を増やして頂きたいと思います。 またこのような時代にあっては、ご自身が過去に担当していた業務においても、数年で技術が陳腐化してしまい、自分の知識・技能をアップデートしなければいけない事もあると思います。このため、普段から社内外での人脈を構築していくことが必要となりますが、「電気エンジニアのための Q&A コミュニティ」は、異業種の方々とも人的ネットワークを広げる事ができる貴重な場をご提供頂いており、ぜひ積極的にご活用頂ければと思います。
2. 世界に目を向ける
脱炭素に向けたエネルギー分野の技術革新は、先進国ばかりでなく途上国でも進められており、また国によっては規制が厳しい日本より技術導入が進んでいる場合もありますので、特にご自身の担当業務につきましては、途上国を含めた海外各国で直面している課題、またそれらへの対応策として導入されている技術等、情報収集の機会を可能な限り増やして頂きたいと思います。例えば、同じ職場で海外出張に行かれた方がいらっしゃれば、業界動向等ネットでは拾えない情報に触れるチャンスでもありますし、最近は海外のウェビナー、SNS等による情報発信の機会も増えておりますので、語学の壁を乗り越えて積極的にアンテナを広げて頂きたいと思います。
(JICA 国際協力専門員(資源・エネルギー)小川忠之 記)