質疑応答2024-0334 で〔配電盤内での短絡事故によるアーク短絡移行現象〕について説明して頂きましたが、① 配電盤内での短絡事故で何が起きる、② 髪の毛一本程度の電線でアーク短絡に至る、などについて検証したデータなどがありましたら紹介して下さい。
Kameda Kazuyuki Answered question
ご質問の ①②について、配電盤内で短絡事故が起こった場合、一般的にどのような危険な状況になるか、どのような現象でアーク短絡に至るかについて「短絡事故」実験の結果を含めて説明します。
1.配電盤内の短絡事故で何が起きる
短絡事故による大電流が流れることで、以下のような危険が生じます。 短絡事故を防ぐためには、適切な絶縁、定期的な点検、過電流遮断器の正しい設定などが重要です。
- 過熱と発火:短絡電流が流れると、電線や接続部が過熱し、最悪の場合発火することがある。
- 縁被覆の焼損:高温により電線の絶縁被覆が焼損し、さらなる短絡や地絡事故を引き起こす可能性がある。
- 機器の損傷:短絡電流により電気機器が故障し、修理や交換が必要になることがある。
- アーク短絡事故の危険:短絡事故が発生した際に、アーク短絡事故に至り人身事故に至る恐れがある。
2.髪の毛一本程度の電線でアーク短絡に至る
髪の毛一本程度の電線で大事故(短絡事故からアーク短絡)に至ることを検証するため下記のような試験を行った。 短絡事故実験の概要と実験結果については 図1 に纏めました。
- 低圧配電盤内の配線用遮断器一次側のST相端子間に、髪の毛1本程度の電線(素線16φ, 0.02mm2, 75㎜長)を置いて相間短絡事故を発生させた。
- 電線は短絡直後に蒸発し、盤内にアーク短絡が発生した(と推測されます)。
- 短絡個所を変えたり、太物導体(ボルト等)で実験するなどいくつかの試験を行ったが、髪の毛1本程度の電線が最も大きな被害を及ぼすことがわかった
このように髪の毛一本程度の電線がもとで大事故となることがあるため、特に工事後の通電前に、このような細かな電線が残っていないかなど慎重に現場チェックすることが重要です。
(産業用電気設備関係の方からの回答です)
Kameda Kazuyuki Edited answer