次にEMTPを使って覚えたのが変圧器励磁突入電流計算のモデル構築でした。 この計算は、3相電圧源と短絡容量(背後インピーダンス)、遮断器、線路インピーダンス、変圧器を用いた簡易的な計算回路でしたが、3相瞬時値計算のために振幅値、位相、ベクトルをきちんと理解できていないとモデル構築はできませんでした。 今はすんなりとモデル構築はできますが、当時は、3相交流理論並びに変圧器の電気的特性(結線、変圧器等価回路、ヒステリシス特性等)の基礎知識は必要でした。
そんな中、励磁突入電流計算の意味をしっかりと理解できたきっかけとなったのは、電力会社で超高圧の新設大容量変圧器を併入する場合、励磁突入電流試験があり事前にシミュレーションを行って検証することからでした。 この時、励磁突入電流の実測波形とシミュレーション波形の比較検討が行えたことにより、初心者でも多少時間は掛かったが電気的な現象を理解することができました。 例えば、遮断器の投入位相のタイミング、変圧器の残留磁束の決め方などである。 また、励磁突入電流計算において突入電流波形をFFT分析することにより高調波の意味を知ることが出来ました。 後に、パワエレ関連による高調波解析について多いに参考になった。
励磁突入電流計算は、非線形性モデル(ヒステリシス特性)を用いることから、線形モデルとは違う過渡現象であると認識しながらモデル構築を行うべきである。 励磁突入電流計算は割と簡易回路であるが物理現象としては奥深い。 電力系統は基本的に非線形特性を持つ機器モデルの集まりであるから、励磁突入電流計算から学習するのが望ましいと思う。(解析ソフトは、主にEMTPを使用)
(壹岐 浩幸 記)
Kameda Kazuyuki Edited answer