接地計画から、接地調査、接地設計、接地工事、接地抵抗測定、定期管理までの作業について、どのような作業項目があるのか、その作業手順、注意すべき事項について説明して下さい。
近年、接地の使用目的が複雑化、多様化しています。ただ単に接地極を埋めて、所要の抵抗値を満足したら終わりというわけには行きません。そのため、お客様の要望によっては、計画段階から入念な準備が必要不可欠となります。
準備といっても、一般住宅の家電製品などに施す接地であれば深入りした検討は不要でしょう。しかし、接地に対して高度な要求がある場合の計画・設計は専門の設計会社に任せることもあります。 接地の計画・設計では、機能性、耐久性、施工性、コスト、その他様々な要求事項に対し総合的に判断しなければなりません。接地の検討で難しいところは、「どちらかをとると、どちらかを失う。」そのような局面が多く存在することです。そのため、接地設計では、トータル的なバランスを考慮しながら検討していかなければなりません。
図1 に接地の計画・設計の手順の一例を示します。接地設計では、大地抵抗率(大地パラメータ)を基にして様々な接地工法の検討を行います。しかし、接地設計で用いる大地抵抗率は、以前にも話をしたように机上で推定することは困難です。 よって、接地設計を行う前のタイミングで現地に赴き、大地抵抗率の調査を行い、効果的な接地工事を行うための情報収集を行います。 これらの、接地設計を行うための現地での情報収集活動を総称して “接地調査” と呼んでいます。ちなみに、この接地調査は、専門性が高いため専門業者による実施になることが一般的です。 しかし、接地抵抗値がなかなか低減できないような地域では、接地調査を行うことで効率的な接地工事を行うことが可能となり、接地工事のコストダウンにつながります。 接地工事以降に接地抵抗測定および定期管理と続きます。
図1 接地の計画・設計の手順の一例
接地抵抗測定および定期管理についての注意点は、下記の質疑応答も合わせてご参照ください。
- 2023-0248 (現場とトラブル) 電位降下法による接地抵抗測定
- 2023-0249 (現場とトラブル) 接地抵抗測定の誤差の要因と事例
- 2023-0250 (現場とトラブル) 大規模な接地の接地抵抗測定方法
(日本地工株式会社の方からの回答です)