質疑応答 2023-0245 接地抵抗測定 で、各種接地極の接地抵抗計算式について教えて頂きましたが、例えば、棒状接地極について、接地抵抗計算結果と測定結果の比較などの実例がありましたら紹介して下さい。 計算で求めた接地抵抗値と実測値との間に差が生じる場合、その原因としてどのようなことが考えられるでしょうか?
棒状接地極の接地抵抗計算結果と測定結果の比較事例を示します。 一般的に大地抵抗率の測定と接地極の施工は別の日に行われるのですが、本データは両者を同日に行ったものとなります。
1. 大地抵抗率の調査
写真1 に示すウェンナーの四電極法〔質疑応答2023-0242 大地抵抗率 2(2)項参照〕にて大地抵抗率 ρ〔Ωm〕の測定を実施し 166.5Ωm の値を得ました。
2. 接地極の打ち込み及び埋設
写真2 に示すように棒状接地(φ10×1500㎜)を打ち込み、接地極の埋設が完了しました。
3. 接地抵抗測定
埋設後、写真3 に示すように接地抵抗測定を行い、123.9Ω の抵抗値を得ました。
4. 棒状電極の接地抵抗計算
棒状電極の1極あたりの接地抵抗値 R1 [Ω] を求める計算式は、電極長さを l [m]、電極半径を r [m]、大地抵抗率 ρ [Ωm] とすると (1)式 で示されます。〔質疑応答2023-0245接地抵抗計算 の (1)式 参照〕
図1 に示す棒状電極の各条件を下記に示す値とした時の接地抵抗値 R1 [Ω] を求めます。
- 電極長さl [m] : 1.5 m
- 電極半径r [m] : 0.005 m(=直径10mm)
- 大地抵抗率ρ [Ωm] : 165.5 Ωm
- 式 に各条件を入れて計算を行います。
計算で求めた接地抵抗値 113.0Ω と実測値 123.9Ω との間には約10Ω の差が生じた。 この原因として下記のようなことが考えられます。
- ウェンナーの四電極法を実施した場所の大地抵抗率 ρ=165.5〔Ωm〕の値と、実際に工事を行った場所の ρ の値に若干のズレがあったこと
- 計算式は埋設深さを考慮していないが、工事では接地極の埋設深さが75㎝であったこと
- 接地極と土壌との “なじみ(See Note)” の問題
(Note)接地極のなじみの問題とは:
接地極を打ち込んだ直後は、接地抵抗値が安定しないことがある。 これは、打ち込み時の打撃力によって接地極周辺の土壌が緩んだり、接触面が安定していなかったりすることにより発生する。
(日本地工株式会社の方からの回答です)