短絡電流計算手法に関する代表的な計算手法として、質疑応答「2020-0001 短絡電流計算手法、規格および便利なツール」で説明したように、① 米国の ANSI規格(ANSI/IEEE C37)、② 国際化に伴って、IEC規格(IEC 60909:工場配電 および IEC 61363:船舶関連)、③ ドイツ規格をベースとして規定されたロシア規格 (GOST)等による計算手法があります。 以下は、質疑応答 2020-0001 からの抜粋です。 <国内では、私がエンジニアリング会社に入社した50年前当時(半世紀前ですね)は、国内に短絡電流計算に関する規定がないこともあり、米国の ANSI 規格に基づいた手法を学び、発電機や電動機のインピーダンス値や非対称係数等を ANSI 規格に規程されている値を用いて計算していました。 その後、国際化に伴い海外の EPC 案件では IEC 規格の適用が要求されるようになり、JIS/JEC/JEM にも IEC 規格の規定が取り入れられつつあり、国際的に IEC 規格による計算が一般的になって来ました。>
IEC 規格による短絡電流計算手法については、 質疑応答「2020-0002 IEC規格による短絡電流計算手法」で詳しく説明しているのでご参照下さい。 ANSI 規格による短絡電流計算手法については、この紙面で説明するのは困難ですので、ANSI 規格(ANSI/IEEE C37)を参照して計算して下さい。 肝要なことは、IEC 規格に基づいて設計製作検査された機器は IEC 規格に基づく計算手法で、ANCI 規格に基づいて設計製作検査された機器は ANCI 規格に基づく計算手法で評価することが必要です。
ご参考までに、『電力系統解析ソフトウェア etap Power Simulator』を用いて計算すると、同じ系統データを基に、① IEC 規格 (IEC 60909:工場配電、IEC 61363:船舶関連)、② 米国規格(ANSI/IEEE C37)、および ③ ロシア規格 (GOST) に基づいて短絡電流計算を行い、遮断器やヒューズなどの保護装置の評価(短絡電流値に対して、正常に遮断できるか、遮断されるまでの間機器が耐えられるか等)を行うことが出来ます。 etap の User Guide には、米国 ANSI 規格による短絡電流計算手法についても記載されていますのでご参考にして下さい。
(電気エンジニアのためのQ&Aコミュニティ事務局 亀田和之)