高調波における解析業務は、実測データ分析並びにシミュレーションを用いた解析の、大雑把に2種類のカテゴリーに分けられるかなと思います。 初めは、システム構成(主に系統連系する産業負荷設備、再エネ発電設備、etc.)、並びに単体の電気機器(パワエレ、etc.)における、実測データ(電圧、電流、etc.)に含まれる高調波成分を分析し電気的な特性を見極める。 理論・非理論高調波次数の含有率、並びに次数間高調波の含有率を正確に知ることが大切である。
次は、解析ソフトを使って、システム構成(電気回路)による高調波分流計算、高調波インピーダンス特性などの静的な計算、システム構成並びに単体(パワエレ機器、電気機器、etc.)などをモデル構築してシミュレーションを行う動的な計算である。 静的・動的な計算技術を高めるには、ある程度の専門知識が必要となる。 例えば、高調波インピーダンス特性の計算結果から高調波共振(直列共振、並列共振)による問題が生じることになる。 高調波共振である共振点を抑制するためには、対策として高調波フィルタが必要となり、高調波フィルタ設計が容易でない。 そのために、高調波フィルタの専門メーカーに解析依頼することになるが、高調波の解析業務を行う方は、高調波フィルタを設計出来る程度まで技術を磨いてもらいたい。
年々、再エネ関連において、長距離ケーブル系統(自営線)に伴う電気的な課題の一つである高調波共振が問題視されており、そのため高調波フィルタの設計が難しくなっている。
また、高調波フィルタの設計において、いろんな種類の(シングル、ダブル、ハイパス、C-type, etc.)型タイプがあるが、それぞれの単機の電気的な特性を理解していないといけない。 なぜならば、一つの母線に並列に共振次数、容量、型も違う高調波フィルタが複数台併入された場合、単機または複数台における高調波インピーダンス特性は全く異なるため見極めが大事となる。 高調波の解析業務において、2種類についてざっくりと書いたが、他にもいろんな解析の種類があると思います。 高調波解析は、かなり奥深いです。(解析ソフトは、主にEMTP、ETAPを使用)
(壹岐 浩幸 記)