建築・電気設備に対して最適な雷保護システムを導入するために検討すべきこと、注意すべきことについて教えて下さい。関連する法令や規定、規格についても説明して下さい。
まずは雷のリスク(その地域への落雷頻度、施設の重要性、被害が発生した場合に想定される損失など)と、必要な雷対策費用(避雷針、接地システム、SPD(Surge Protective Device : サージ防護デバイス)や耐雷トランスなどの設置費用)を比較検討し、最適な方針を立案する事が必要です。 ここでその施設への雷対策費用を算出するには、雷保護システムに関して体系づけられた JIS 規格を参考に検討していくことが良いと思います。JIS における雷保護規格は JIS Z 9290-1(雷保護-第1部:一般原則)から、総合的な雷保護システムを構成するにあたり、大きくは以下の二つで成り立っています。
① JIS Z 9290-3:建築物等の保護(雷保護-第3部:建築物等への物的損傷及び人命の危険)
- 外部雷保護システム(受雷部、引下げ導線、接地極システムについて)
- 内部雷保護システム(等電位ボンディング、安全離隔距離の確保について)
② JIS Z 9290-4:電気設備の保護(雷保護-第4部:建築物等内の電気及び電子システム)
- 雷サージ低減設計 => LPZ (Lightning Protection Zone : 雷保護ゾーン) の考え方、磁気遮蔽及び配線ルートの検討、接地と等電位ボンディング
- SPD による雷サージ低減(JIS C 5381-11, -12 に規定される電源用 SPD による雷保護設計、JIS C 5381-21, -22に規定される通信用 SPD による雷保護設計)
総合的な雷保護システムとは、雷の影響に対して建物や人を直撃雷から保護するシステム(①)と、建物内の電気・電子機器を雷サージ(雷の影響により発生する異常電圧・電流)から保護するシステム(②)から構成されます。 また関連する法令や規程、「建築基準法」(第33条)、「消防法」(第10条)、「電気設備技術基準の解釈」(第18条ほか)、「高圧受電設備規程」、「内線規程」および国土交通省の「建築設備計画基準」「建築設備設計基準」「公共建築工事標準仕様書」や、その他必要な基準などに応じて機器・システムを選定し構築していくことが必要になります。
(電機メーカーの方からの回答です)