インバータの種類と発生する高調波との関係について教えて下さい。出来ましたら、インバータ負荷に電力を供給する場合、インバータ投入時などの問題点と注意すべき点についての説明もお願いします。
近年は、インバータは電圧形 PWM インバータが主流になっています。 電圧形 PWM インバータは、直流(定電圧)電源から電動機を駆動する出力周波数の交流を得る変換器です。 従って、インバータは、商用電源から直流電源を作るコンバータに接続されて、コンバータと対になって動作します。 電動機を駆動するインバータの高調波は、間に直流電源があるため、商用電源の高調波には関係がほぼなくなります。商用電源の接続された交流 / 直流変換器であるコンバータ(順変換器)の種類によって、電源高調波が異なります。
ここでは、コンバータの種類と回路構成について説明します。
ダイオードコンバータ: ダイオード整流器により、交流を直流に変換します。三相ダイオード変換器の場合、ダイオードを6個用います。ダイオード変圧器は、高調波を減らすために入力にACリアクトルを接続したり、直流側にDCリアクトルを接続します。構成が簡単なため汎用インバータなどに用いられますが、回生が必要な負荷には使えません。
サイリスタコンバータ: サイリスタ整流器により、交流を直流に変換します。三相サイリスタ変換器の場合、サイリスタを6個用います。出力にDCリアクトルを設け、電源波形を改善します。サイリスタのゲート制御により、直流電圧を一定に保ちます。回生が必要な用途では、回生用に逆向きに接続されたサイリスタ整流器を併せて用い、回生側のサイリスタを動作させて、直流のエネルギーを電源に回生します。
PWM コンバータ(active front endとも呼ばれます):IGBT などの素子を使い、インバータと同様に PWM 制御と入力フィルタによりほぼ正弦波の入力電流が得られます。
インバータ負荷に電力を供給する場合、インバータの制御により電流を流すため、商用電源で電動機を始動するときような、電動機定格電流の数倍の始動電流が流れることはありません。インバータで決められた過負荷使用で決められた範囲の電流で、負荷の電動機を始動し、加速します。汎用インバータの場合の過負荷耐量は 150%-60s 位までが普通ですが、鉄鋼の負荷の場合、225%-60s やそれを超える大きな過負荷耐量をもつインバータが用途に応じて用いられます。
なお、コンバータには、直流電圧を平滑するコンデンサがありますので、コンバータを起動する前にコンデンサを充電するためのプリチャージ回路が備えられています。
(電機メーカーの方からの回答です)