発電機のAVRの有無によって電動機の始動時間にどのような影響があるのでしょうか? このような検討結果の実例などがありましたらご紹介して下さい。
ご質問にお答えするために、「① 発電機が無い系統 ② 発電機がある系統でAVRが有る場合 ③ AVRが無い場合」について、
電動機始動時間および系統の電圧降下がどの程度異なるかについて、質問番号2020-0086「電動機の始動計算に便利なツール」で紹介した電力系統解析ソフトウェア etap を用いて検討した。その結果を紹介します。(etap については株式会社エルテクス設計にお問合せ下さい)
解析は 「① 電動機始動プログラム(ダイナミック法)② 過渡安定度プログラム(AVR無し)③ 渡安定度プログラム(AVR有り)」 の3ケースについて行った。発電機、AVRおよびガバナ、電動機のモデリング法の適用は下記のとおりとした。
① 電動機始動プログラム(ダイナミック法):プロットの MS (D)
a. 発電機 Constant Voltage (Behind Xd’)
b. AVRおよびガバナ 無し
c. 始動する電動機 ダイナミックモデリング
d. 運転中の電動機 Constant kVA
② 過渡安定度プログラム(AVR無し):プロットの TS (-AVR)
a. 発電機 ダイナミックモデリング
b. AVRおよびガバナ 無し
c.始動する電動機 ダイナミックモデリング
d. 運転中の電動機 Constant kVA
③ 過渡安定度プログラム(AVR有り):プロットの TS (+AVR)
a. 発電機 ダイナミックモデリング
b. AVRおよびガバナ ダイナミックモデリング
c. 始動する電動機 ダイナミックモデリング
d. 運転中の電動機 Constant kVA
結果を比較検討すると、傾向として下記のことが言える。
a. 電動機接続母線の電圧:
始動直後の電圧は ①②③ 共ほとんど同じである。
始動完了後は、②と③は発電機やほかの負荷の影響で若干電圧の回復が遅い。
始動完了後の電圧は ①② が同じで始動した電動機のインピーダンス分電圧が低下する。
③ は発電機AVRによって電圧が100%まで回復する。
b. すべり(始動時間):
① は始動完了後すぐに一定kVA負荷になるため若干加速が早い。②と③ はほぼ同じ結果となる。
c. 始動電流:
① はすべりと同じ理由で収まるのが早い。②と③ はほぼ同じ結果となる。
電力系統解析ソフトウェア etap の開発元であるOTI社の Web Site にも電動機始動プログラムと過渡安定度プログラムによる電動機始動計算結果の比較がアップロードされています。
添付ファイル etap_comparisonresults_ma2.pdf をご参照下さい。