化学工場や製鉄所などの産業設備では数千台の電動機が運転しています。これらの電動機についてデータを集め、1台づつ正確に解析ソフトウェアにデータを入力することは極めて困難です。 このような場合の電動機群のデータ入力方法、電動機の縮約方法などについて教えて下さい。
また、電動機を縮約して入力した場合の解析結果の精度について検証したデータがありましたら紹介して下さい。
数千台もある電動機を1台ずつ全て入力することは ① データを集め、入力する手間が大変であるだけでなく ② 全ての電動機データの調査が困難で誤ったデータを入力してしまう恐れがあり、解析結果の信頼性を損なうことがあり得る ③ 系統が複雑になり、計算時間がかかる、計算が収束しないなどの問題が生じ、必ずしも現実的とは言えません。 そこで、etap のようなツールを用いて解析を行う場合は、データ入力方法が User Friendly であり、Network などの機能を用いて大きな系統も入力し易くなっているので、下記のような方法が現実的です。
a. 高圧電動機は全数個々に入力する
(台数が多い場合は、例えば1000kW以上の電動機は個々に、1000kW未満の電動機は縮約して入力する)
b. 低圧電動機は、例えば100kW以上の電動機は個々に、100kW未満の電動機は縮約して入力する
何れの場合も、高圧系統および低圧系統ごとに、合計容量の80~90%程度の電動機を1台ずつ個々入力し、残りの10~20%程度の電動機を縮約電動機として入力することをお奨めします。解析結果の精度を維持し、かつ系統もかなり簡素になります。
1. 誘導電動機の縮約方法
下図の例を基に、4台の電動機を1台の電動機に縮約する方法について説明します。
縮約電動機の容量 (kVA0)、極数 (Pole0)、慣性定数 (H0)、負荷率 (%Load0) を求める計算式は下記のとおりです。
電動機の縮約方法の手順および例について、 e-DPP Lumped Motors.pdf をクリックして、電気設備エンジニアリングソフトウェア e-DPP(ユーザーガイドの抜粋)をご参照下さい。(e-DPP および etap については株式会社エルテクス設計にお問合せ下さい)
2. 縮約結果の検証
誘導電動機を縮約して入力した場合の解析結果の精度について、検証した資料を紹介します。
UG 22 縮約電動機の検証.pdf をクリックしてご参照下さい。
この資料は、第22回 ETAP ユーザー会のプレゼン資料を基に、電動機を1台ずつ個々にモデリングした場合と、それらの電動機を1台の縮約電動機として縮約した場合において、① 受電点短絡事故 ② 商用電源停電 ③ 商用電源瞬低 ④ 大型電動機始動 の4項目の解析結果を比較した部分を抜粋ものです。
補足:
この資料中の単線系統図において、a. 薄緑色で囲った電動機群と薄ピンク色で囲った縮約電動機を切り替えて解析を行い b. 薄青色で囲った大型電動機は「大型電動機始動」解析時に始動する電動機として用いています。