保護協調の検討にあたっての心構え、検討するために必要な知識、保護協調図の作成方法について教えて下さい。
これまでのQ&A(質疑応答)の中で、保護協調に関して、質問番号2020-0016でアークフラッシュ計算に必要な事故除去時間(FCT)を求める、質問番号2020-0062で距離継電器を設定するためのツールとしてのetap StarZ™ 、質問番号2020-0063で電動機群が瞬低後に順序再始動する場合の保護協調、質問番号2021-0085で電動機の始動電流および熱的強度 (I2t) を考慮した保護協調について、その都度ご質問に対する回答として説明してきました。
ここでは、保護協調についての理解を深めるために、1. 保護協調の必要性 2. 保護協調図の作成方法 3. 保護協調プログラムの新しい機能 について説明します。
1. 保護協調の必要性
保護協調の検討は単に理論的な検討だけでなく、経済性、系統運用上の安全性、電気設備の保護、運転員に対する安全性(アークフラッシュ保護)、これまでに経験した事故に基づく検討、ベテランの経験に学んだ検討が必要である。
① 電気系統の短絡事故、電動機の始動失敗(始動渋滞)などの事故が生じた場合に、速やかに事故を検出し、速やかに事故区間を切り離すように保護装置を設定する。
② 発電機、変圧器、電動機およびケーブルなどの電気設備を、短絡電流や過負荷電流による損傷から防ぐために、熱的強度 (I2t) 以内に動作するように保護装置を設定する。(図1参照)
③ 変圧器の突入電流、電動機の始動電流、瞬低後の電動機群の順序始動電流などによって、保護装置が誤って動作することが無いように設定する。(図2参照)
④ 系統の上流および下流の保護装置の協調が互いに正しく取られ、事故区間以外の系統が不必要に遮断されることの無いように所定の時間間隔 (CTI : Coordination Time Interval) をとって保護装置を設定する。(図3参照)
⑤ アークフラッシュ計算において、運転員をアーク事故から守るために、事故エネルギーを必要なレベル以下に抑えるよう事故除去時間 (FCT : Fault Clearing Time)を考慮して保護装置を設定する。(図4参照)
➅ 過電流保護だけでは協調が取れない場合は、比率作動継電器、母線保護継電器、距離継電器などによる保護についても検討する。電圧継電器や周波数継電器などとのインターロック、他の系統とのインターロック、化学工場などではプロセスインターロックなども併せて検討すると良い。
回答全文については、質問項目(保護協調)0094.pdf をご参照下さい。
第2項は、下図の系統図を基に「保護協調図の作成方法」について説明しています。作成手順については、保護協調図の作成手順.pdf をクリックしてご参照下さい。
第3項は、「保護協調プログラムの新しい機能」 についてのg紹介です。併せてご参照下さい。