可変速の大型電動機の多用に伴い、軸電流による電動機および被駆動機の軸受の電食についてのトラブルが生じています。 軸電流に対する留意、対策はどのようなことがあるでしょうか。
磁気アンバランスによる軸電流や、VSDからのコモンモード高周波電圧に起因する軸電流には必要な対策が取られていると思いますが、可変速ドライブが様々な用途や容量に採用されるようになったことに伴い、それ以外についても対応が必要な場合があります。
ケーブルからモータの固定子巻線に伝わったコモンモード電圧による高周波電流が、浮遊容量を通じて固定子、モータ フレーム~接地線を介して電源部に戻ってくるが、接地線(特にモータ~接地母線間)のインダクタンスが十分に小さくないと高周波電流を流しにくくなりモータ フレームに高周波の電位が残ることになります。
通常は、モータと(ポンプ等の)被駆動機が共通のベースプレート上に設置され、モータ フレームと被駆動機フレームがほぼ同電位になるので問題となることは少ないが、モータ側と被駆動機側の接地インピーダンスに大きな差があると問題を起こしやすくなります。 可変速駆動モータと大型被駆動機を別々の分離(独立)基礎上に設置し、被駆動機側の(高周波に対する)接地インピーダンスがモータ側の接地インピーダンスよりも大幅に低いケースが代表的な事例です。
大型機械は接続される配管、機器、鉄骨、基礎等を通じた接地インピーダンスが非常に小さくなるのに対し、モータ側が通常の接地線のみに依存した接地だと、接地線を介した高周波インピーダンスは相対的に高くなり、(機械側と接続される)シャフトとモータフレーム間の電位差が大きくなり、軸受油膜の絶縁が破壊し軸電流が流れ、軸受の電食に至ることがある。
共通のベースプレート、共通の基礎上に設置するのがベストですが、分離基礎上に設置せざるを得ない場合には、次のような対策を考慮する。
- 分離基礎上のベースプレート間を鉄骨で接続する(又は、高周波特性のよいケーブルで極力短く接続する)
- モータ側のベースプレートを建屋の鉄骨構造物と接続する
- 絶縁軸受けを、両側に採用する
- アースブラシを採用する (危険場所では難しい)
- 絶縁継手を採用する
(エンジニアリング会社の方からの回答です)