雷サージ計算を行うには、雷撃電流モデル、架空地線や架空線のための線路モデル(分布定数モデル)、鉄塔モデル、アークホーンモデル、避雷器モデル、変圧器モデル、etc. などがあり、これらの単体モデルを使ってシステム的なモデルを構築する事を知り面倒でも理解する必要がありました。 雷サージ現象は高周波領域のため、計算時間も数十μsecの過渡現象であり、最初はイメージが全然つかめずピンと来なかったことを覚えています。
約30年前の雷サージ計算は、簡易的な計算回路を用いて計算を行っていました。 例えば、架空地線、架空線、ケーブルは単相線路モデル、アークホーンモデルは(短絡法、v-t法、etc.)でした。 また、その頃は大型計算機(富士通Mシリーズ)を用いており、雷サージ計算を刻み時間 Δt=1nsec レベルで計算できることが驚きでした。 今の時代ならばPCのCPU時間は数+秒で計算できますが …。
現在の雷サージ解析は、3相ベースでの回路が主流となり、各モデルを構築ためには更なる専門知識が必要になります。 例えば、架空地線2本と平行2回線あれば8相回路からなる周波数依存性を持たせた分布定数線路モデルを構築するため、理解することだけでかなり大変だと感じます。 国内における一般的な雷サージ計算は、電力中央研究所の耐雷設計ガイド [1] を使って行っています。
また、雷サージ計算は、一般的に変電所の電力機器絶縁協調として事前設計として用いられることが多い。 ところが、雷は自然現象で気まぐれなので、突発的に変電所の電力機器が破損した場合の雷サージ計算は、詳細なモデル構築を必要する必要性があり耐雷設計ガイドだけでは対応しきれない場合がある。 雷撃電流の大きさと頻度については、確率論となる場合が多い。(解析ソフトは、主にEMTPを使用)
参考文献:
[1] 「発変電所及び地中送電線の耐雷設計ガイド(2011」年改訂版)」総合報告:H06 電力中央研究所
(壹岐 浩幸 記)