雷サージについての理解を深めるために、雷サージの定義、雷サージの種類、雷サージの侵入ルート、雷サージによる被害などについて説明して下さい。
落雷頻度は地域、季節により異なってきます。例えば https://www.franklinjapan.jp/network/jldn-map/ にはJLDN((株)フランクリン・ジャパンが所有する落雷位置標定システム)により観測された落雷の数が示されています。
もちろん、この図で落雷数が多いところは落雷による被害発生の確率は高くなります。ただ、一つ考慮に入れておかなければならない雷の特徴があります。それは冬季雷と夏季雷の特徴の違いです。冬季雷は「雷雲が低く」、「エネルギーの大きな雷」が「高い建物に集中して落ちる」傾向があるため、風車のような高い建物には驚異となります。一方で、夏季雷は冬季雷ほど高い建物に集中して落雷する特徴がないため、その対策方法も異なってきます。例えば夏季に雷の多い地域の風車には多くても年2、3発くらいの落雷しか発生しませんが、冬季雷の地域に建設されている風車にはひと冬で60回も落雷することがあります。
被害の程度は様々ですが、電気電子機器であれば雷サージが機器に入り込んだことが原因で、内部の回路が短絡故障し、落雷後も電力が供給され続け、火災に至ることもあります。雷による被害は公にはされていませんが、保険会社の方に聞いたことがありますが、かなりの数,発生しています。
雷被害発生の第一の要因は、様々な電気電子機器を開発される方々の雷対策の知識不足は否めません。多くの機器・設備で雷対策というのは後回しにされることが多く、事故や故障が発生した後に対策されることが多いのが現状です。つまり、設計当初から雷対策をきちんとしておくと比較的容易に、安価に対策できるにもかかわらず、開発コスト削減の関係で対策されないまま(あるいは対策が不十分なまま)世の中に出ることが多いようです。
(中部大学 教授 山本和男 記)