雷保護に関する接地方式、接地極およびその接地特性について説明します。
1. 接地方式
接地方式には大きく3つに分けられ,「個別接地方式」,「連接接地方式」,「共通接地方式」がある。個別接地方式は,電気・電子機器を接地極を用いてそれぞれ接地する方式である。 ① 連接接地方式は,個別接地方式で埋設した接地極が複数ある場合において接地線を用いてお互いに接続し接地方式である。 ② 共通接地方式は複数の電気・電子機器を接地線を用いて1つの接地極に接続し接地する方式である。また,③ 連接,共通接地方式には接地極間の電位が等しくなるため雷サージ発生時の電位上昇が抑制される効果がある。
2. 接地極
接地極の種類には,「A型接地極」と「B型接地極」に分けられている。
A型接地極は 図1 のように ① 板状接地極 ② 垂直接地極 ③垂直接地極から構成され, 各引下導線に接続されている。
B型接地極は図2のように ① 環状接地極 ② 網状接地極 ③ 基礎接地極から構成し,各引下導線に接続されている。
3. 接地特性
接地特性には,定常特性と過渡特性がある。例えば,地中に埋設された棒電極に電流 I [A] を注入した場合について考える。雷電流が流入した直後は,その接地インピーダンス Z [Ω] に依存した電位上昇 V [V] が発生する。その時の I / V の時間変化 Z(t) は,Z(t) に含まれる誘導性と容量性によって過渡特性を示す。その後,時間が経過することである定常値に収束する。これら一連の変化を接地特性という。
詳細は「SPD・避雷器と耐雷トランスを用いた雷保護」オーム社(2015−6)に記載されているのでご参照下さい。
(中部大学 教授 山本和男 記)