SPD の関連規格は、電源用 SPD、通信・信号用 SPD それぞれに、JIS(日本工業規格)が発行されており,適用範囲は、「交流50/60 Hzの1,000 V以下の電源回路および機器に接続し、雷またはその他の過渡的な過電圧の直接的および間接的な影響のサージに対する防護のためのデバイスに適用」と記載されています。しかしながら、日本では、電気設備に関する技術基準を規定する省令において、低圧は交流600 V以下、直流は750 V以下と規定されています。
電源用 SPD は、この電源系統に発生する過電圧から電気設備を保護するために用いられています。電源用 SPD は、JIS において、試験クラスにより分類されています。 ① クラス I SPDは、直撃雷の分流を想定した SPD であり、② クラス Ⅱ SPDは誘導雷を想定しています。③ クラス Ⅲ SPDは、被保護機器の内部または直近に設置することを想定した SPD です。
一方,通信・信号用 SPD 規格は、カテゴリーで分類されており、① カテゴリー C は誘導雷を想定し、② カテゴリー D は直撃雷の分流を想定しています。電源用機器に比べて、通信用機器は、特に通信ボートの耐電圧性能が低いため、通信・信号用 SPD に要求される電圧防護レベルは、機器の耐電圧性能を十分に考慮し設計しなければなりません。また、通信信号波形は、その周波数に応じて別途付加した装置(ここでは SPD)の静電容量に大きく影概することから、電源用 SPD と通信信号用 SPD とでは試験方法や適用基進が異なるとともに、SPD 内部に使用する部品や回路構成も大きく異なります。
電源用 SPD、通信、信号用 SPD は、双方ともに SPD 内部に、非線形素子が使用されています。この素子は、連続で使用する電圧ではほとんど通電せず、雷サージなどの異常電圧が加わると、その電圧を低く制限し、電流を接地へと放流します。
詳細は「SPD・避雷器と耐雷トランスを用いた雷保護」オーム社(2015−6)に記載されているのでご参照下さい。
(中部大学 教授 山本和男 記)