電源用SPDを設置するにあたり、その設置場所、設置方法、接地線の取り扱い、適用事例、保守・管理方法など、検討すべき事項および注意すべき点についての概要を教えて下さい。
SPD は分電盤等に設置される場合や分電盤周辺の筐体に設置される場合が多いですが、その保護効果を最も有効にするためには、被保護機器の直近に設置する事が望ましいとされています。これは配線距離の影響を極力軽減するためです。
SPD の設置方法として、漏電遮断器の二次側に SPD を設置する方法と一次側に設置する方法があります。図1 に漏電遮断器の二次側に SPD を設置する事例を示し、図2 に漏電遮断器の一次側に SPD を設置する事例を示します。
図1 の様に漏電遮断器の二次側に SPD を設置した場合、過大な雷サージが侵入及び発生しても漏電遮断器が動作してSPD が電源線路から解放されるため、SPD が燃焼破壊する事がありません。このケースでは、雷サージが侵入すると漏電遮断器が動作し、電力が負荷に供給されなくなります。漏電遮断器の動作後には、安全を確認し漏電遮断器を再投入しなければなりません。したがって、図1 の設置方法は常時メンテナンスが可能であり、停電しても問題ないような設備に適しております。
図2 の様に漏電遮断器の一次側に SPD を設置する適用例として、停電が許されない重要度の高い設備(例:病院の手術室および人工呼吸器、銀行のデータ回線など)の場合です。このケースでは、雷サージが侵入しても漏電遮断器を SPD でバイパスするため、漏電遮断器が動作せず停電も起きません。
その他の電源用 SPD の適用事例として、接地を取る事が容易でないような機器(例:監視カメラや LED 照明、屋外センサ等)も挙げられます。
詳細は「SPD・避雷器と耐雷トランスを用いた雷保護」オーム社(2015−6)に記載されているのでご参照下さい。
(中部大学 教授 山本和男 記)