雷保護について知っておきたい規格および規定として、① 避雷器の施設に関する規格 ② 接地に関する主な規定 ③ 建築物等の雷保護に関わる規格、および ④ サージ防護デバイス(SPD)に関わる規格について説明します。
雷保護について知っておきたい規格および規定として、① 避雷器の施設に関する規格、 ② 接地に関する主な規定、 ③ 建築物等の雷保護に関わる規格、および ④ サージ防護デバイス(SPD)に関わる規格について説明します。
1. 避雷器の施設に関する規格
(1) 電気設備技術基準の解釈第37条【避雷器の施設】(省令第49条)
雷による電路に施設する電気設備の破損を防止するために,「高圧及び特別高圧による電路中,次の各号に揚げる箇所、またはこれに近接する箇所には,避雷器を施設すること。」となっています。
(2) 高圧受電設備規定,第2編第2章,第2210-1【絶縁協調に関する基本事項】
「雷サージ(誘導雷)による機器の絶縁破壊を防止するために架空電線路から供給を受ける需要場所の引込口またはこれに接近する箇所には避雷器を施設すること。ただし雷害のおそれがない場合はこの限りではない。」となっています。
2. 接地に関する主な規定
(1) 電気設備技術基準の解釈第37条【避雷器の施設】(省令第49条)
高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には,A種接地工事(10Ω)を施すこと。」となっています。ただし,「日本電気技術規格委員会規格 JESCE2018(2008)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2. 技術的規定」により施設する場合は,第17条第1項第一号(A種接地工事)の規定によらないことができる。」となっています。
(2) 電気設備技術基準の解釈第18条【工作物の金属体を利用した接地工事】(省令第11条)
「鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の建物において,第17条規定の接地工事その他の接地工事を共用の接地極に使用する場合には,建物の鉄骨又は鉄筋コンクリートの一部を地中に埋設するとともに,等電位ボンディング(導電性部分間において,その部分間に発生する電位差を軽減するために施す電気的接続をいう。)を施すこと。また,鉄骨などをA種接地工事又はB種接地工事の接地極として使用する場合には,各号により施設すること。なお、これらの場合において,鉄骨等は,接地抵抗値によらず,共用の接地極として使用することができる。」となっています。
(3) 高圧受電設備規定,第1編第1章第160節1160-6【共用・連接接地】
- 大地との電気抵抗値が2Ω以下に保っている鉄骨その他の金属体をA種,B種,C種,D種及び避雷器の接地極として使用する場合は,全接地を連接接地とすること。
- 避雷器の接地は,被保護機器の接地端子と連接すること。(第2編第2章2220-5(避雷器の設置工事)参照)
- 総合接地抵抗値が十分低く(10Ω以下),かつB種が計算値の2/3以下の場合はA種とD種あるいはA種とD種とB種は共用できる。
- 受電設備のA種,C種及びD種の接地工事は共用できる。
ここで、
- A種:高圧機械器具の接地
- B種:高低混触による危険防止の接地
- C種:300Vを超える低圧機械器具の接地
- D種:300V以下の低圧機械器具の接地
各種接地工事の接地抵抗地および接地線の種類については、Q&A No. 2021-0149 の 表1 を参照して下さい。
3. 建築物等の雷保護に関わる規格
(1) JIS A 4201:2003「建築物等の雷保護」
建築物等並びにその内部の人畜,設備及び収容物に対する効果的な雷保護システムの設計,施工,検査及び保守に関する基本事項を規定しています。雷保護システムである LPS(Lightning Protection System)と呼ばれ,外部 LPS,内部 LPS の適応について規定しています。
4. サージ防護デバイス(SPD)に関わる規格
(1) JIS C 5381-11:2014「低電圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの要求性能と試験方法」
低圧電源系統の電気機器を雷サージ(過電圧)から保護するための SPD に対する性能および試験方法が規定されています。
(2) JIS C 5381-12:2014「低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの選定及び適用基準」
電源用 SPD の選定と適用基準に関する規定で,電源回路に侵入した雷サージ(過電圧)を制限し,電気機器を保護するための SPD を選定し,どのように適用するかを規定しています。
(3) JIS C 5381-21:2014「通信及び信号回路に接続するサージ防護デバイスの要求性能及び試験方法」
通信および信号回路に使用する SPD の性能および試験方法が規定しています。
(4) JIS C 5381-22:2014「通信及び信号回路に接続するサージ防護デバイスの選定と適用基準」
通信及び信号回路に接続する SPD について,雷保護ゾーン(LPZ),さらに雷及び電力システムとの結合メカニズムによる過電圧を分類し,それに適用する SPD の選定と接続方法を規定しています。
詳細は「SPD・避雷器と耐雷トランスを用いた雷保護」オーム社(2015−6)に記載されているのでご参照下さい。
(中部大学 教授 山本和男 記)