油入変圧器のユニットクーラーの冷却能力低下(目詰等)で放圧装置(自動復帰タイプ゚)動作して120℃の熱油が放出するとういうトラブルが生じた。火傷対策、環境対策からどのような対策が必要でしょうか?
油入変圧器の冷却方式として、油入自冷式、油入風冷式、送油自冷式、送油風冷式、送油水冷式などがあります。図1 の変圧器は油入自冷式の例であり、放熱装置 ⑨ が設置されています。そして、変圧器内部故障(See Note)により内部アークが発生し、内部圧力が異常に高まり放熱装置などの機械度強度が低い箇所を破損する恐れがあります。この異常圧力をタンク外に放出するための装置が放圧装置です。図1 の変圧器では自動復帰型放圧装置 ⑥ が設置されています。
自動復帰型放圧装置 (Automatic return pressure relief device) は、放圧装置が動作した時に警報を発して一次側の遮断器をトリップし、変圧器の内部圧力が低下すると自動的に放圧装置が閉じるので、放圧ガスや油の放出を最小限に抑えることができます。
ご質問の主旨は、「放熱装置としてユニットクーラーを用いている変圧器で、フィルターの目詰まりなどにより絶縁油の温度が上昇し放圧装置が動作して120℃の熱油が放出した」 とういうトラブルに対する対応策と理解します。このような場合、下記のような対応策が考えられます。
(1) 先ず、ユニットクーラーのフィルターが目詰まりをすることが無いように、日常点検で絶縁油の分析を行い、予知保全を行う。
(2) 自動復帰型放圧装置の動作値の設定、事故の大きさと遮断器の動作時間との関連を考慮した一次側の遮断器とのインターロックなどの検討を行い、放出する熱油の湯量を把握する。
(3) 放出する熱油の湯量に応じて、放圧管の先端に適切な容量の油槽を設置する。図2 のように、放圧装置からの油飛散防止として放圧管を地上近くまで延長し、タンク受けまたは、油桝で受ける方法も有効です。
(Note)
変圧器の内部に生じる事故として、質疑応答2022-171 に記載されているように、① 巻線の短絡あるいは相間短絡 ② 巻線と鉄心間の絶縁破壊による地絡 ③ 高圧低圧巻線の混触 ④ 断線などが考えられます。
(参考文献)
[1] 出展:株式会社東光高岳 カタログ 「東光高岳の特別高圧変圧器」 https://www.tktk.co.jp/uploads/hp6677k.pdf
[2] 出展:株式会社中川プラント カタログ 「変圧器放圧菅貯油装置」 http://nakagawa-plant.com/product_oilstorage.html
(エンジニアリング会社関連の方からのご回答です)