風力発電の接地方法について教えて下さい。
風力発電機 785V 5.7MVA
コンバーター 0.69kV 4.78MVA
昇圧トランス 33/0.69kV 4.3MVA
上記が16セットあるのですが、風力発電機同士は、
約100m離れており、単独接地をすると
トランスのA種接地は、なんとか10Ω以下が
出せるのですが、B種接地が計算上5Ω以下となっており
なかなか岩盤の地層で出すことが困難です。
(なんとか1か所くらいはだせそうかと)
そこでですが、B種接地のみ16機の共用接地をした場合の影響や
問題について、ご教授いただければ幸いです。
通常,風力発電設備ではA種接地とB種接地は統合接地しています(ある会社にも確認しましたが,多くの場合、統合しています)。
電気設備基準解釈第18条第2項に「大地との間の電気抵抗値が2Ω以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は、これを非接地式高圧電路に施設する機械器具の鉄台若しくは金属製外箱に施す A種接地工事、または非接地式高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧電路に施す B種接地工事 の接地極に使用することができる。」 とあり,このような理由から、日本ではなんとかして風車のA種接地の接地抵抗を隣の風車と連接接地するなどして2Ω以下にして,B種接地を連接しているようです。
風車の接地システムについては、質疑応答 2021-0149 (雷保護)各種設備の接地特性 の第3項 「風力発電システム」 をご参照下さい。このように基礎や基礎杭のほか,環状接地線,埋設地線,接地プレート,棒電極など様々な接地極が基礎の周囲に接続するなどして、接地抵抗を2Ω以下にすることもできます。ただし,費用対効果を考えた設計を考える必要があります。
風車周辺の付加的な接地極の効果や連接接地の効果を検証する際は,我々の研究Gでは事前に数値電磁界解析を実施し,おおよその特性を予測し,接地設計をすることをお勧めしています。
統合接地のメリットとデメリットについては 資料[1] を、電気機器を共用接地した場合の問題点と対策については 資料[2] をご参照下さい。
(参考資料)
[1] 統合接地: 電気主任技術者・電気工事士・エネルギー管理士・技術士等の資格試験と電気技術情報サイト https://denki-nyumon.com/tougousetti.html
[2] 電気機器を共用接地した場合の問題点と対策: 公益社団法人 日本電気技術協会 https://jeea.or.jp/course/contents/06301/
(中部大学 教授 山本和男 記)
事務局より:
高圧用の電気機械器具の金属製外箱の接地(A種接地)については、 質疑応答 2022-0170 (現場とトラブル)66kV変圧器金属製外箱のA種接地工事の接地抵抗 の第2項 をご参照下さい。接地抵抗値が規定値(10Ωあるいは2Ω)以下であっても、地絡電流の値によっては、接地電位 (GPR: Grounding Potential Rise) が上昇し、接触電圧 (Touch Potential) や歩幅電圧 (Step Potential) が大きくなり、感電による人身事故が生じる恐れがあります。運転員および作業員に対する「感電」防止のため、接触電圧や歩幅電圧についても検討することが必要です。