グローバル化が進むにあたり、各国間の利害関係が直接からむため、国際標準化をめぐって各国間のせめぎあいが厳しくなって来ています。日本においても、2019年に JIS が改正され、下記の経済産業省のホームページでは、『ルールテイカー から ルールメイカーへ (新たな産業の市場形成はルール作りから始まる)』と記載されています。海外での業務にあたり、そのような世界の動向についても着目にして下さい。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/jisho/jis.html
1. 欧州の法律
EU(European Union)の法律は、主に Regulations, Directives, Decisions, Recommendations, Opinions と分類され、遵守必要なものとそうでないものがあります。詳細は下記 Web site を参照下さい。
https://european-union.europa.eu/institutions-law-budget/law/types-legislation_en
従い、EU加盟国は、自国や地域の法律・規制に加え、上記のEUの法律を遵守する必要があります。
2. 欧州の規格
欧州の規格は EN(European Standards)と呼ばれ、その電気分野は、主に CENELEC (European Committee for Electrotechnical Standardization、欧州電気標準化委員会)が担当しています。また、CENELECの各国のメンバー(30か国:本回答時点)は、自国の規格、例えば、イギリス BSI、ドイツ DIN 等に反映すると共に、EN と相反する規格が自国内に存在しないよう調整することが義務付けられています。EN や CENELEC の詳細は、以下のウエブサイトを参照下さい。
https://ec.europa.eu/growth/single-market/european-standards/key-players-european-standardisation_en
https://www.cencenelec.eu/about-cenelec/
3. 国際標準ISOとIECについて
ISO は、正式名称を 国際標準化機構(International Organization for Standardization) といい、各国の代表的標準化機関から成る国際標準化機関で、電気・通信及び電子技術分野を除く全産業分野(鉱工業、農業、医薬品等)に関する国際規格の作成を行っています。
IEC は、正式名称を 国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission) といい、各国の代表的標準化機関から成る国際標準化機関であり、電気及び電子技術分野の国際規格の作成を行っています。
4. CENELECとIECの関係
CENELEC は IEC とも協調して、規格の制定にあたっています。 CENELEC と IEC の関係については、以下のウエブサイトを参照下さい。 フランクフルト合意 FAQ (Frequently Asked Questions on the Frankfurt Agreement) :
https://www.cencenelec.eu/media/Guides/CLC/13_cenelecguide13_faq.pdf
CENELEC(とIEC)の TC(Technical Committee、技術委員会) :
https://standards.cencenelec.eu/dyn/www/f?p=CENELEC:6
5. 海外での業務にあたって
上述の通り、規則や規格は国・地域により異なりますので、その国・地域の規則・規格を熟知している会社等に相談することを強くお勧めします。
参考: 国内規格と国際規格との整合:
JIS(日本産業規格)とは、産業標準化の促進を目的に産業標準化法(昭和24年)に基づき制定される日本の任意の国家規格です。そして JIS は、国際規格である ISO 規格や IEC 規格を翻訳して作成するなどして、国際規格と整合性が図られています。
また、国内には電気関連の規格として、JISに加え、JEC(電気規格調査会:Japanese Electorotechnical Committee) https://www.iee.jp › jec 、JEM(日本電機工業会: The Japan Electrical Manufacturers Association) https://www.jema-net.or.jp/Japanese/standard/jem_info.html があります。これらの規格も IEC 規格との整合性が図られるようになってきています。
JIS 規格・ISO 規格・IEC 規格の概要については、「JIS 規格・ISO 規格・IEC 規格の基礎知識」 https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/housing-design/knowledge/iso.jsp をご参照下さい。
また、JEC/JEM の他に、電気関連の民間規格として JESC(日本電気技術規格委員会)が承認した規格は、電気事業法の「審査基準」や「技術基準の解釈」に引用することができます。ただ、JESC と IEC 規格との整合性は直接的には図られていません(JESC が JIS, JEC, JEM を引用することにより整合する場合はあります)。
(この回答は、石木健司と亀田和之が共同で纏めました)