「系統解析業務に係って40年、 いま振り返ると」第4章として「タービン発電機モデル絡めた計算」について説明して下さい。
初めはタービン発電機に関連した解析のモデル構築とシミュレーションでした。 この頃には、EMTP だけでなく、1990年代に他の解析ソフト(Siemens社の NETOMC、言語がドイツ語で大変苦労しました)を使い始めました。 このNETOMACについて詳細に説明するのは省略しますが、当時としては三相瞬時値計算と実効値計算、各機器モデルの計算精度が相当高いと感じました。 また、タービン発電機関連の解析を深めるため国内外の専門書や論文を必死に読み始めました。 そこで気づいた事は、これはかなり専門的に奥がかなり深いぞと感じたからです。
まずは頭を冷やして、タービン発電機モデルを二分割に分けて、タービン側は機械系モデルであり GOV 制御周辺とタービン構造の習得、発電機側は電気系モデルであり発電機と励磁制御周辺の習得と考え学習しました。 当時、「電力系統解析理論」 をボロボロになるまで解析業務で活用し、周りの解析技術者、研究者には負けまいと必死でした。 過渡安定度解析は、一機から多機までの無限大母線系統に繋がる発電機過渡安定度計算である。 これらを解析するには、発電機モデルはダイナミックな簡略から詳細までの電気的な非線形・線形の連立微分方程式(Park’sモデル)、またタービンモデルは火力、水力に合わせた機械系のタービンブロック図、更に、励磁制御、GOV 制御のブロック図が必要となる。 また、タービン発電機モデルにおいて系統側短絡事故における発電機瞬時的な短絡トルクによる軸ねじれトルク現象においても軸強度評価など専門知識が必要でした。
ここでは専門的な理論や計算手法については触れないが、解析ソフトを使ってたくさん解析業務経験を積めば、タービン発電機モデルにおける電気的と機械的である複雑なメカニズムの安定度・過渡現象を理解できると信じている。
また、解析ソフトで発電機モデルや誘導電動機モデルを使用する場合は、まず、同期機・非同期機の特性の違いをきちんと知ることが大切である。(私も解析業務始めの頃は違いがよく理解できなかった。)
最後に、発電機過渡安定度解析を専門的理解出来たのは、やはり東大・関根先生の「電力系統過渡解析理論」(分厚い黒本)を学習することであった。 潮流計算、タービン発電機モデルなどの構築を通して、発電機過渡安定度解析の全般を学べるようになったと思います。(解析ソフトは、主にEMTP、ETAP、MATLAB/SIMULINKを使用)
(壹岐 浩 幸 記)