弊社では、電気設備の技術基準第36条に基づき、低圧配電盤のフィーダー回路に漏電遮断機能(漏電リレーの信号を遮断器に送りTrip)を設けています。 しかし、工場の運転継続上 重要な設備があって、漏電でTripするのは弊社ビジネス的にも避けたいところです。 このような設備の場合、御社ではどのように対処されているでしょうか? 御社の考え方、対策等についてご教示下さい。
(電気設備の設計監理を担当されている方からのご質問です)
Kameda Kazuyuki Changed status to publish
電気設備の技術基準第36条の規定はとても悩ましいですね! 作業員の安全を考慮して、下記のような優先順位で対応するのが良いと思います。 ご参考にして下さい。
- 原則、漏電でTripとする。
- 第36条の各項の条件を考慮して、一般の作業員が近づくことが無いエリアに設置された重要な設備は、第1段Alarm、第2段Tripとする。
- 停止すると生産に大きな影響を与えるような重要な設備は、設備を二重化するなどの対策を講じる。
(電気エンジニアのためのQ&Aコミュニティ事務局 亀田和之)
補足説明:
上記の回答に関する「産業用電気設備関連」の会社の方々からの補足説明は下記のとおりです。 ご参考にして下さい。
- 415V地絡遮断装置の施設は電技解釈第36条の感電対策のため漏電遮断器によりTripが必要ですが、危険が少ない場合には地絡遮断装置は省略できることとしています。
- 400Vは危険電圧で「死にボルト=420V」と言われており安全限界の「50mA×1秒」以内でTripさせる必要があります。
- 地絡遮断装置の施設は感電対策の他に電気火災防止の観点から施設します。
- 地絡遮断装置を動作させるために電技解釈第19条第1項第一号から「電路の中性点」の機能接地が認めれています。 火災対策のために変圧器等のY結線中性点を接地する時、抵抗を入れて2.5A程度電流に抑える設計をしています。(対地静電容量を算出して2.5Aよりも抑えた設計は可能)
- 質問者からの重要設備でTripさせたくない場合の対応ですが、発電所で実際に行った方法を 「追記1」 に記載します。
- 弊社では電技36条 第5項の「公共の安全の確保に支障 … 」を「追記2」のように解釈し、該当する場合警報としています。
追記1 : 上記第5項の「発電所で実際に行った方法」
- 各フィーダに漏電遮断機能(漏電リレー)を取り付けてアラームとした。
- 多段フィーダがある場合には、タイマー100msec、450msecに設定してカスケードアラームにより地絡箇所を絞れる設計とした。
- 400V電源母線側にある変圧器等の中性点接地線に地絡遮断装置を設けてタイマー1000msecに設定して、「TripとAlarmの選択スイッチ」を設けた。 通常運転時はAlarm、定期工事(建設工事)等で不特定多数の作業員が入る場合にはTripにして運用している。
- フィーダ側で地絡事故が起きて中性点に地絡電流が流れた時には、電流I0の置針式、地絡形分析装置があると地絡電流の大きさ(数値)と地絡の様相が分かり有効です。
追記2 : 電技36条 第5項の「公共の安全の確保に支障 … 」の解釈
追加説明: (別の方からの説明です)
接地時のトリップについて、弊社では回答例と同じように、➀ 基本トリップ、 ② トリップさせたくない所は、中性点に100Ωの抵抗を入れて、地絡電流を2.5A程度に抑え警報としています。 警報が発報しても2.5A程度であれば火災になるリスクは低く調整して設備を停止する時間が確保できると考えています。
Kameda Kazuyuki Edited answer