質疑応答2022-0211で、機器劣化、施工および点検不良によるトラブル事例について説明して頂きましたが、引き続き、自然災害によるトラブル事例についてご紹介して下さい。
質疑応答2022-0211 で述べたように、高圧機器の事故は、➀ 機器劣化、施工および点検不良、② 風雪・雨水侵入・雷害などの自然災害、③ 動植物の接触などによって生じることが多い。ここでは、② 風雪・雨水侵入・雷害などの 「自然災害」 によるトラブル事例について紹介します。
1. 屋外高圧負荷開閉器 (PAS)
PAS のトラブルの原因は、屋外の雨水や気温変化がある環境下に設置されていること、および引き込み装置の最初の開閉器にある関係で、雷害などの「自然現象」によるトラブルが最も多く、鳥獣や植物の「他物接触」、腐食などの「保守不良」と続く。下図は、雷で破損した屋外高圧負荷開閉器 (PAS) の例である。 避雷器 (LA) の設置などの対策が必要である。雷対策については、Q&A 200 Book の第10章「雷と保護」を参照して下さい。(図1参照)
2. 台風による電気事故 (損壊)
台風による電気事故に関して、台風による損壊事故の例(2019年・台風15号)(図2参照)、および 台風による塩害事故発生状況(2018年・台風24号)(表1参照)について紹介します。
3. 塩分を含んだ雨水侵入による事故
PAS と VCT との接続部分に、台風により塩分を含んだ雨水が侵入し、塩害により火花・焼損事故が発生した。防護カバー本体が燃えて溶解し、下部に設置されている端末部等に降りかかり端末部が全焼した。定期的な清掃および機器交換、耐塩性能の高い製品の採用などが必要である。(図3参照)
4. 高圧ケーブル屋外端末絶縁カバーの溶解
下図は、溶解した高圧ケーブルの端末絶縁カバーである。月次点検時に高圧ケーブルの屋外端末絶縁カバーが溶解しているのを発見し、直ちに交換したので事故には至らなかった。原因は、塩害により絶縁カバーの材質が変化し溶解したためである。(図4参照)
(出展 : 関東電気保安協会)