質疑応答 2020-0040「(雷保護)等電位ボンディング」で、等電位ボンディングの意味および必要性、等電位ボンディングできない場合の対応策などについて説明して頂いてますが、等電位ボンディングと接地工事の種類との関連について、法規上の規定を基に説明して下さい。
(産業用電気設備関係の方からの質問です)
等電位ボンディングの意味および必要性、等電位ボンディングできない場合の対応策などについては、ご質問にありますように、質疑応答 2020-0040「(雷保護)等電位ボンディング」をご参照下さい。
接地工事の種類について : 接地工事の種類には、A種:高圧機械器具の接地、B種:変圧器の中性点接地 (高低圧混触による危険防止の接地)、C種:300Vを超える低圧機械器具の接地、D種:300V以下の低圧機械器具の接地 があります。 各種接地工事の接地抵抗地および接地線の種類については、質疑応答 2021-0149 「(雷保護) 各種設備の接地特性」 の表1 (下表) をご参照下さい。
接地方式について : 接地方式は大きく3つに分けられ、個別接地方式、連接接地方式、共用(共通)接地方式 があります。 ➀ 個別接地方式 は、電気・電子機器を接地極を用いてそれぞれ接地する方式である。 ② 連接接地方式 は、個別接地方式で埋設した接地極が複数ある場合において連接線を用いてお互いに接続する接地方式である。 連接接地の例として、PAS の A種接地極と、キュービクルの A種接地極を接地線(連接線)で接続する方法がその一例です。 ③ 共用(共通)接地方式 は、複数の電気・電子機器を、接地線を用いて1つの接地極に接続して接地する方式である。 総合接地抵抗値が10Ω以下の場合、A種、C種、D種は共用とすることができます。 ただしB種接地を共用にした場合、短絡電流と同じ電流が流れてしまうため、個別接地とする方が良いといえます。 なお、接地極(接地方法)の種類とそれぞれの接地極の接地特性(定常特性と過渡特性)については、質疑応答 2021-0148「(雷保護)接地極(接地方法)の種類と接地特性」をご参照下さい。
連接接地方式および共用(共通)接地方式を行うと接地極間の電位が等しくなるため、雷サージ発生時の電位上昇が抑制される効果があります。 等電位ボンディング(導電性部分間において,その部分間に発生する電位差を軽減するために施す電気的接続をいう)の目的で、連接接地方式および共用(共通)接地方式を施す場合は、質疑応答 2021-0160「(雷保護)知っておきたい関連規格」の第2項に纏めた「接地に関する主な規定」をご参考に検討して下さい。 ご参考までに、(3) 高圧受電設備規定,第1編第1章第160節1160-6【共用・連接接地】に、 ① 大地との電気抵抗値が2Ω以下に保っている鉄骨その他の金属体をA種,B種,C種,D種及び避雷器の接地極として使用する場合は、全接地を連接接地とすること。 ② 避雷器の接地は、被保護機器の接地端子と連接すること(第2編 第2章 2220-5(避雷器の設置工事)参照)。 ③ 総合接地抵抗値が十分低く(10Ω以下)かつB種が計算値の2/3以下の場合は、A種とD種あるいはA種とD種とB種は共用できる。④ 受電設備のA種,C種及びD種の接地工事は共用できる、などの規定があります。
統合接地とは : 統合接地とは、連接接地方式および共用(共通)接地方式により、A種からD種の接地を1つにまとめた接地方式です。 統合接地することにより、等電位ボンディングすると言えます。 従来の方式は、高圧機器および避雷針は A種、変圧器の中性点接地はB種、300Vを超える低圧機械器具の接地はC種、300V以下の低圧機械器具の接地はD種というように、接地の目的に合わせて接地をA種からD種に分け、それぞれの接地極を個別に埋設しています(これを単独接地といいます)。 統合接地することのメリット、統合接地するための条件、統合接地のデメリットなどについては、「電気☆入門:統合接地」https://denki-nyumon.com/tougousetti.html に説明図入りで分かり易く説明されていますので、併せてご参照されることをお勧めします。
関連する質疑応答 :
- 2020-0040 (雷保護) 等電位ボンディング
- 2021-0148 (雷保護) 接地極(接地方法)の種類と接地特性
- 2021-0149 (雷保護) 各種設備の接地特性
- 2021-0160 (雷保護) 知っておきたい関連規格
(電気エンジニアのためのQ&Aコミュニティ事務局 亀田和之)