接地抵抗測定において測定誤差が発生する要因は、補助極の離隔だけに留まるものではありません。 様々な影響によって測定誤差が発生していることがありますので、これらの注意すべき点について紹介します。 なお、補助極の離隔不足による誤差の問題は〔質疑応答 2023-0248 電位降下法による接地抵抗測定〕をご参照ください。
1. 補助極の設置位置の選定
3極法では、埋設導体、地形・地質、迷走電流や高圧ケーブルなどからの誘導ノイズの影響などで測定誤差が出ることがあります。 現場では、必ずしも全ての条件を満足することはできませんが、このような知識を持つことによって、問題となる場所は出来るだけ避けて補助極を設置することが出来るようになり、正しい測定が出来るようになります。
(1) 埋設導体の影響
埋設導体が補助極の近くにあると測定値に影響を与えることがあります。 例 えば、金属製フェンスやガードレール、金属製の埋設配管など金属物とは出来るだけ離すように心がけてください。
(2) 地形・地質影響
複雑な地形・地質を有する場所では、電位分布も歪んでしまい、測定結果に影響を受けることがあります。 測定補助極を設ける場所は、できるだけ、平坦で均質な地盤の所を選んでください。
(3) 様々なノイズによる影響
接地抵抗測定では、かなり劣悪なノイズ環境下で測定することがあり、そこからの悪影響で測定誤差を生じます。 接地極自体に漏電電流が流れ込み測定が不能になったり、地盤を流れる迷走電流が影響したり、時には電力ケーブルからの電磁波なども影響することもあります。 補助極の設置場所は、このような場所は出来るだけ避けることが望ましいです。
2. 補助極の接地抵抗値の影響
接地抵抗測定の補助極は、棒が少しでも刺さっていればよいという感覚の人が多いようです。 それは大きな間違いです。 補助極であるP極とC極の接地抵抗が高いことによって測定に不具合が生じることがあります。 よって、補助接地極はしっかり大地に打ち込む必要があります。 近年の接地抵抗計には、補助極の点検機能が付いているものが多くあります。 その機能が付いている測定器では、必ずチェックした上で測定を行ってください。
3. 接地抵抗計の故障や零点のズレ
接地抵抗計の故障や零点のズレによって測定誤差が生じることがあります。 異常の有無を確認するには、定期的な点検作業が必要です。 測定前には、抵抗素子を用いて確認することが必要です。
(日本地工株式会社の方からの回答です)