送配電系統の周波数を一定に保つための方法、および送配電系統の周波数が低下した場合の対応策について、どのような方法が取られているのか説明して下さい。
質疑応答 2023-0253「送配電系統において周波数低下が発生する要因」で説明したように、送配電系統は、需要(電気の使用量)と供給(電気の発電量)が一定になるようにバランスをとって、周波数が一定になるように、下記のような「送配電系統の周波数を一定に保つための方法」を講じています。
送配電系統の周波数を一定に保つための方法
- 一般送配電業者 [1] の中央給電指令所で、時々刻々変化する需要と供給に合わせて、余力のある発電所の出力を調整(増減)して周波数が一定になるように調整している。
- 揚水発電所の発電量の余力、太陽光発電や風力発電用設備のバッテリー容量についても考慮し、出力変動に伴う安定化を図る。
地震や台風による電源脱落に伴う周波数低下の対応策として、質疑応答 2023-0254「送配電系統の周波数低下により生じるトラブルや障害」で説明したように、一般送配電事業者 [1] 、電力広域的運営推進機関 (OCCTO) [1] 、送配電網協議会 (TDGC) [1] などが一体となって、下記のような「電源脱落発生時の対応策」を講じています。
電源脱落発生時の対応策
- 周波数の低下量、周波数の時間変化率(傾き)などの周波数変化の状況に応じて、余力のある発電所の発電量を増加、および EPPS (Emergency Power Presetting Switch) 動作による 50/60㎐ 間の電力融通(需要家の停電を避ける)
- 周波数が 負荷側UFR の動作値を下回ることが無いように、系統安定化システムであらかじめ演算した量の電力調整(需要家の停電を避ける)
- 周波数が 負荷側UFR の動作値を下回る場合、自動的に負荷制限(需要家の停電に至る)
- 発電設備の不要な解列を防止するために、自家発、太陽光発電および風力発電設備などの 発電側UFR の動作周波数を見直す。 下記の「電源脱落発生時の対応策 (4) についての補足」を参照して下さい。
電源脱落発生時の対応策 (4) についての補足
質疑応答 2023-0254 で説明した2016年の中部電力管内の周波数低下事象や、2018年の北電ブラックアウト事象などにおいて、太陽光発電や風力発電設備など再生可能エネルギーの早期脱落と自家発の解列が、ブラックアウトを加速させたと電力広域的運営推進機関 [1] が提言しました。 過去に発生した周波数低下事象において、発電側UFR の整定値が -5%、2sec が求められるのに対し、周波数変化を敏感に検出して発電を停止する太陽光発電および風力発電設備や、比較的高い周波数で発電を停止する発電設備および自家発等があることが分かった。 そのために、主にパワーコンディショナー (PCS) で系統連携する発電設備に対して、周波数変化を敏感に検出しないようにすることや、発電側UFR の動作周波数を見直すことの必要性が検討されています。
また、一般産業界に対して、自家発の早期解列対策の標準整定値(-5%、2sec)を一律に要請されることについては、大きな課題(正常な自立運転を困難とし、工場全停電のリスク)があるため、石油学会を中心とした産業有志連合 [2] が、経済産業省資源エネルギー庁(電力・ガス事業部電力基盤整備課)、電力広域的運営推進機関 [1] 、送配電網協議会 [1] に問題提議し、電力および産業界の立場を考慮した全体最適な視点での検討を行いました。 その内容については、質疑応答2023-0259「系統連携UFR整定に拘わる産業有志連合の取り組み」を参照して下さい。
関連する質疑応答 : [1] 質疑応答2023-0260「電気事業法と関連事業および関連団体」参照 [2] 質疑応答2023-0259「系統連携UFR整定に拘わる産業有志連合の取り組み」参照
(石油学会の方からの回答です)