日本における「系統連系に係る現行の規定」が複雑で理解できません。 参考になる資料がありましたら紹介して下さい。 また、系統連系UFRの整定にあたり、下記の件について教えて下さい。
- 用語として、「グリッドコート」と「系統連携規程」をどのように使い分ければ良いでしょうか?
- 系統連系 UFR の整定について、どの規程に、どのように規定されているのでしょうか?
- 系統連系 UFR の整定について協議する場合、どの規定に基づき、どの機関と協議すれば良いのでしょうか?
参考資料として、経済産業省資源エネルギー庁が2022年3月14日付でアップロードしている「グリッドコードについて」があります。 下記の URL をご覧になって下さい。 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/shin_energy/keito_wg/pdf/036_06_00.pdf
質問 (1) についての説明
欧米では、日本より早期に課題が顕在化し、「グリッドコード」として対策を検討している。 日本では、系統連系に係る規程として、電気事業法第17条 に規定する託送供給義務等の下、大きく分けて ①「送配 電等業務指針」 ②「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」 ③「系統連系規程」 ④「系統連系技術要件(託送供給等約款 別冊)」 ⑤「系統アクセスルール」から構成されています。
従来から欧米と同様な仕組みとして日本には、③「系統連系規程」 があります。 近年、特に2011年の東日本震災以降、原発の稼働制約もあり、日本も欧米と同様に不安定な再生可能エネルギー(自然エネルギー)の導入が進み、発電比率も高くなり、系統の安定性に対する潜在的なリスク増加し始めました。 そこで、検討が先行している欧米の「グリッドコード」を検討し、日本の系統連系に関する新たなルールを「グリットコード」と称して検討しています。 検討結果は、上記の ②「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」 や ③「系統連系規程」に反映されています。「グリッドコード」として検討している項目の1つに、欧米で整備されている RfG (Requirement for Generator) があります。 これは、新たに系統に接続する発電設備のスペック(仕様)などが整理されています。
欧州におけるグリッドコードは、欧州全域の市場統合および自由な電力取引の実現を目指して、欧州全域共通の系統要件である「欧州共通ネットワークコード」として規定されたもので、送電事業全体に関わる3分野、すなわち ① Grid Connection (系統連系)、② System Operation (系統運用)、③ Market (電力市場) をカバーし、全部で 10 のコードで構成されています。 RfG (Requirement for Generator) は、① Grid Connection (系統連系) に規定されているコードの一つで、再エネの系統接続に関するコードです。 詳細は、上記のURLを参照して下さい。
質問 (2) (3) についての説明
大臣認可を受けた法律が上記の ④「系統連系技術要件」ですが、この中には、具体的な UFR の整定値の記載はありません。 従って、もし標準整定値が強要されても、無視しても違反に該当しないと考えがちですが、この中で ③「系統連系規程」に従うことと記載されています。 そして、 ③ に具体的な標準整定値の数値が記載されていることから、2022年まではこれに従わないと法律違反と解釈される可能性がありました。
現在は、質疑応答 2023-0259「系統連携UFR整定に拘わる産業有志連合の取り組み」で説明しているように、「個別協議を前提」 という記載になり、リスクが緩和されたと考えて良いと言えます。 一般送配電事業者 [1](旧電力会社送配電部門)は、系統連系規程を基に自社の要領として ⑤「系統アクセスルール」を制定していることから、各社のアクセスルールに基づき一般送配電事業者 [1] と産業界の各事業所が協議して決定することになります。 即ち、これまでは「一般送配電事業者から標準整定値を強制される可能性がある」表現でしたが、「各事業所と一般送配電事業者が協議して整定値を決める」ということを明確にした表現に変更することができました。
関連する質疑応答 : [1] 質疑応答2023-0260「電気事業法と関連事業および関連団体」参照
(石油学会の方からの回答です)