質疑応答 2024-0296〔統合接地と等電位ボンディング〕で、統合接地の必要性と統合接地の設計における主なポイントについて説明して頂きましたが、統合接地のデメリットおよびその対応策について教えて下さい。
統合接地のデメリット
質疑応答 2024-0296 の〔統合接地の設計における注意点〕で説明しているように、統合接地のデメリットとして、① 統合接地とする場合は、低抵抗値(例えば2Ω以下)を求められることが多い、② 接地システムが一つであるため、その接地極の機能が失われると全ての接地の機能が失われる、③ 変圧器2次側のB種接地と機器接地のためのC種およびD種接地が電気的に接続することから、状況によっては地絡事故が発生すると地絡電流が大きくなり、接地線や電気機器(発生箇所による)などに大きな負担がかかること、および ④ 全接地を共用することでノイズの波及(これも発生源によります)が問題となるケースがある、などがあります。
一方、建物内の接地は、一般的にA/C/D種は連接接地あるいは共用接地としているが、B種は別にしていることが多いと思います。 接地が別々になっていると、落雷時に接地間電位差が発生し、機器が被害を受ける可能性があるので、雷対策を最優先で考える場合は、接地を統合するとともに〔雷等電位ボンディングの導入〕を推奨します。
デメリットに対する対応策
このような相反する問題に対する対応策として、① 変圧器2次側の接地線に制限抵抗を挿入することで地絡電流を制限する、② 接地間SPDを設け、通常時は個別接地として機能し、非常時(落雷等の異常電圧発生時)のみ等電位化するという方式が用いられます。 近年、② の対策を取る施設が多く見られるようになってきました。
参考: 質疑応答2024-0295〔等電位ボンディングと雷等電位ボンディング〕に記載の Web Site に〔統合接地のデメリットとその対応策〕について〔図解〕入りで、分かり易い説明がありますのでご参考にして下さい。
(電気エンジニアのためのQ&Aコミュニティ事務局 亀田和之)