低圧電路の接地方式など、日本と海外において、接地に関するの考え方がかなり異なると思います。 どのようなことが、どのように異なるのか分かり易く教えて下さい。
海外といっても様々な国があるため、一概には言えませんが、欧米を中心とした一部の観点から回答します。 まず、大きな違いとして、海外では A種~D種接地 などの考え方が主流ではないことが挙げられます。 基本的には低い抵抗値の接地システムに接続し、すべてを繋げて等電位 <Note> にする考え方が一般的です。 このアプローチにより、地絡電流に大きな違いが生じます。 接地抵抗を介さず導線で接地することで、短絡電流と同等のkA級の大きな地絡電流を流す設計を行います。 大きな電流のため、危険であると考えるかもしれませんが、その代わりに大きな電流を積極的に流すことでより早く電流を遮断し、保護し、事故を防止しています。
これらの考え方の違いの背景には、次のような考え方があると考えられます。 日本では「性能が良いものを大切に使用する」一方、海外では「機械は壊れるもの、人は間違いを犯すもの」という考えが根底にあると思われます。 例えば、日本で良く使用されている漏電遮断器 (ELB) は、小さな漏電電流を遮断して再利用可能であり、接地抵抗を管理することで地絡電流を抑え、機器の損傷や感電時の電流を軽減して安全を確保しています。 一方、海外では大電流を流すことで Fuse や MCCB を確実に動作させ、事故を早期に排除し安全を確保します。 また、等電位ボンディング <Note> により、故障等で充電された機器に触れた場合でも、電圧をゼロにして安全を確保しています。 一部の見解にはなりますが、日本と海外では以上のような考え方の違いがあります。
(産業用電気設備関係の方からの回答です)
事務局より :
<Note> の等電位、等電位ボンディングについては、これまでに下記のような質疑応答 (Q&A) がアップロードされていますので、ご参考にして下さい。