B種接地工事の働きについて、① B種接地工事の目的、② B種接地が無い場合と実施した場合(混触および漏電について)、③ B種接地工事が誕生した歴史的背景 ④ 混触防止板付変圧器二次側の系統接地、などについて説明して下さい。
B種接地工事とは、高圧または特別高圧と低圧を結合する変圧器の低圧側に施す接地工事のことで、接地工事の種類と接地抵抗値が〔電気設備の技術基準の解釈第17条〕に規定されています。 接地工事の種類については、質疑応答2024-0301〔保安用接地の目的と必要な接地技術〕をご参照下さい。
1. B種接地工事の目的
B種接地工事の目的は、図1 に示すように、主に、〔目的1〕混触発生時、低圧側の電位上昇を抑えることにより低圧電線・機器を保護し、感電の危険性を低減する、〔目的2〕二次側に接続された電気機器で漏電が発生した際、漏電遮断器(ELB)を確実に動作させる、の2つです。
2. B種接地が無い場合と有る場合
〔B種接地工事が無い〕状態で〔混触〕が発生した場合、低圧側に高電圧が印可されるため低圧側の低圧機器が絶縁破壊し、機器破損による火災や、人が触れた場合は感電の危険があります。 また、二次側で〔漏電〕が発生した場合でも ELB に流れる電流が変わらないため ELB が動作しません。
〔B種接地工事が有る〕状態で、〔混触〕が発生した場合、B種接地を介して対地に電流が流れ、低圧回路の電位上昇を軽減し、機器の損傷や感電の危険性を軽減できます。 その際、対地電圧を 150V以下 に保つためのB種接地工事の抵抗値が指定されています。 また、二次側で〔漏電〕が発生した場合、動力線と接地線で分流することで、ELB 内の電流に差異が生じ、ELB を確実に動作させることが出来ます。
3. 混触防止板付変圧器 二次側の系統接地
「電気設備技術基準・解釈第24条」により、混触防止板付変圧器の場合、混触防止板はB種接地工事を施すことが定められています。 混触防止板付変圧器の低圧側の系統接地は、実施しなくても良いことになり、事故の早期検出のため系統接地を施す場合、どのような抵抗値とすべきかについては明記されていません。
言い換えると、混触防止板にB種接地工事を施しているので、第1項のB種接地工事の目的で説明した〔目的1〕の対地電圧を制限する機能は必要なく、〔目的2〕の ELB を確実に動作させる満たすための抵抗値であれば良いことになります。
仮に、対地電圧200V、感度電流100mA~1A とした場合、〔0.1A~1A ≦ 220V / (100+R), R < 100Ω~1990Ω〕となり、抵抗値 R は 100Ω~1990Ω 以下であれば良いことになります。 つまり、殆んどの場合、通常のB種接地工事に接続すれば問題ないことになります。
(産業用電気設備関係の方からの回答です)