質疑応答 2020-0008〔A種接地(10Ω以下)の系統の誘導電流〕に『ケーブルの渦電流であれば、配電盤内で高圧ケーブル、特高ケーブル近辺に横配線した接地線はありませんか。 渦電流の影響は思いの他、大です。』との記載がありますが、同様の事例をご存じの方がお見えでしたら教えてください。
なお、外部磁界の影響で誘導電流が流れることは低圧回路でもありそうです。Panasonic の Web Site に『近接電線に流れる電流と漏電ブレーカの誤動作限界』について、下図のようなデータがあります。 URL https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/98580/ をご参照下さい。 また『意外な電流』について、URL 意外な電流 – 漏電 (xn--xdxq56f.jp) をご参照下さい。
この質疑応答 2024-0322〔高圧ケーブルの誘導電流〕は、6月24日に投稿されていますが、この2ヵ月間まだ回答がありませんので、同様の事例についてのご紹介はできませんが、私なりに一般的なことを纏めてみます。
まず、質疑応答 2020-0008〔A種接地(10Ω以下)の系統の誘導電流〕は、A種接地ということから、高圧ケーブルに流れる大電流によって発生する外部磁界による誘導電流の事例と言えます。このような接地母線に流れる〔思わぬ誘導電流〕によって、接地保護継電器の不要動作などのトラブルに至ることが無いよう、大電流が流れるケーブルと保護装置などの離隔距離を十分に取ること、ケーブルの適切なシールドや、定期的な点検とメンテナンスなどの対策が必要です。
さらに、上記の Question に記載して頂いている Panasonic Web Site のデータは、低圧回路の配線に流れる大電流による外部磁界と漏電ブレーカの誤動作の関係について、具体的な図(グラフ)で記載されている極めて貴重な資料と言えます。
以下に、ケーブルを流れる大電流によって発生する外部磁界による影響について、私が知りたいと思っていることをChat GPT に聞いてみましたので、ご参考にして下さい。
ケーブルを流れる大電流によって発生する外部磁界による影響:
- 電磁干渉 (EMI) : 大電流が流れると強い磁界が発生し、周囲の電子機器に干渉する可能性があります。これにより、電子機器の誤動作や故障が発生することがあります。
- 人体への影響: 強い磁界は人体にも影響を与える可能性があります。低周波磁界は体内に渦電流を誘導し、これが健康に影響を与えることがあるとされています。
- 発熱: 渦電流が発生すると、ケーブルや周囲の金属部分が発熱し、これが火災の原因となることがあります。
低圧回路のケーブルや配線に流れる大電流によって発生する外部磁界による影響:
- 漏電ブレーカの誤動作: 大電流による強い磁界が漏電ブレーカの動作に干渉し、実際には漏電が発生していないのにブレーカが作動することがあります。
- 電磁ノイズの発生: 大電流が流れると、ケーブルから電磁ノイズが発生し、周囲の電子機器に干渉する可能性があります。 このノイズは、通信障害や機器の誤動作を引き起こすことがあります。
- 発熱と劣化: 大電流が流れることでケーブルが発熱し、長時間の使用で絶縁体が劣化する可能性があります。これにより、漏電や短絡のリスクが高まります。
- 磁気飽和: 磁気飽和が発生すると、インダクタンスが低下し、さらに大きな電流が流れることがあります。これが原因で、回路全体の安定性が損なわれることがあります。
これらの影響を防ぐためには、適切なシールドやフィルタリング、定期的な点検とメンテナンスが重要です。
3芯ケーブルに大電流が流れると周りにどのような磁界が生じるか?
3芯ケーブルに大電流が流れると、各芯線に流れる電流がそれぞれ磁界を生成し、これらの磁界が相互に影響し合います。 このような磁界は、周囲の電子機器にノイズを発生させることがあるため、適切なシールドや配置が重要です。
- 三相交流の場合: 3芯ケーブルが三相交流を運ぶ場合、各相の電流は位相が異なるため、生成される磁界も異なる位相を持ちます。これにより、磁界が互いに打ち消し合う部分と強め合う部分が生じます。
- 直流の場合: 直流が流れる場合、各芯線が生成する磁界は一定の方向を持ちます。これにより、ケーブル周囲に一定の磁界が形成されます。
- 磁界の強さ: 流れる電流の大きさに比例して磁界の強さも増加します。大電流が流れると、強い磁界が発生し、周囲の金属物体に影響を与える可能性があります。
単芯ケーブルに大電流が流れると周りにどのような磁界が生じるか?
単芯ケーブルに大電流が流れると、その周囲に円状の磁界が発生します。この磁界の強さは、流れる電流の大きさに比例し、ケーブルからの距離に反比例します。具体的には、アンペールの法則(Ampère’s circuital law)に従い、電流が流れる導体の周囲に磁界が形成されます。この磁界は、右ねじの法則に従って、電流の方向に対して右回りの方向に発生します。例えば、電流が上向きに流れている場合、その周囲には時計回りの磁界が形成されます。この磁界は、電流が増加するにつれて強くなり、ケーブルから離れるにつれて弱くなります。
アンペールの法則(Ampère’s circuital law)については、URL アンペールの法則 – Wikipedia などの Web Site をご参照下さい。
(電気エンジニアのためのQ&Aコミュニティ事務局 亀田和之)