3相4線式の低圧配電盤のケーブル引き込み部周辺の筐体フレーム(鉄枠)が運転中に発熱するというトラブルがありました。 この配電盤では、各相の(N相も)ケーブルがそれぞれ大サイズの単心ケーブルで構成されており、大きな接続スペースが必要だったため、3相分のケーブル用とN相ケーブル用の接続部が隣接盤の下部に隣り合って設けられていました。 発熱する原因としてどのような要因が考えられるでしょうか? またどのような点に注意すれば良いでしょうか?
単相負荷へも電力を供給する低圧3相4線回路では、各相間の負荷の不平衡分の電流が中性線(N相)に流れます。 これに加え、N相には高調波発生源である整流回路やインバータ等を含む負荷からの第3次高調波電流が加算されて流れます。 このため、3相だけ(又はN相だけ)を通す鉄枠にはその電流で誘導された循環電流が流れ発熱します。 上記のケースでは、3相だけのケーブル(又は母線)が貫通する鉄枠とN相ケーブル(又は母線)だけが貫通する鉄枠部が発熱したものと思われます。
このようなケースでは、対症療法としては、対象部の鉄枠のどこかに絶縁物を挟み込むなどして閉回路を構成させない等の方法が有効です。 本質的には、3相4線のケーブル(又は母線)のすべてが鉄枠内を貫通するようにする必要があります。
上記の例とは少し異なりますが、3相3線式の低圧配電盤内の一部の筐体フレーム(鉄枠)が発熱するというトラブル事例もありました。 このケースは、改造のため限られたスペースにCT等の配電盤付属品を効率的に収納しようとするあまり(?)、3相の母線が配電盤の鉄製構造物の一部の閉回路部分で「3相母線のうちのひとつが他の2相の母線と逆方向に貫通していたため、フレームに誘導による循環電流が流れ発熱した」ことが原因でした。 増設や改造時に狭いスペースで特別な設計を行う場合には注意が必要です
(エンジニアリング会社関連の方からの回答です)