変圧器2次側至近端で短絡事故が生じた場合、① 短絡電流による変圧器の内部がどのようなメージを受けるか、② その後の監視方法(点検保守)などについて紹介して下さい。
Kameda Kazuyuki Answered question
変圧器の2次側至近端で短絡事故が発生した場合、変圧器内部には以下のようなダメージが残る可能性があります。 これらのダメージは、変圧器の性能低下や寿命の短縮を引き起こすため、早急な点検と修理が必要です。
- 巻線の焼損: 短絡電流が流れることで、変圧器の巻線が異常発熱し、焼損することがある。
- 絶縁材料の劣化: 高温により絶縁材料が劣化し、絶縁不良が発生する可能性がある。 これにより、さらなる短絡や地絡事故が起こりやすくなる。
- 絶縁油の劣化: 変圧器内部の絶縁油が高温にさらされることで劣化し、絶縁性能が低下する。
- コアの損傷: 高温や電磁力の影響で変圧器のコアが損傷することがある。
上記の 4項の「コアの損傷」により、その後(例えば数年~十数年後)、下記のような経緯により内部コイルで「層間短絡」に至ることがあります(図1参照)。
- 事故直後は、変圧器の電気特性、絶縁油の特性に異常は見られないものの、変圧器の巻線は短絡電流起因の電磁機械力により変形している可能性がある。
- その後、長年にわたり巻線変形部にストレス(電磁振動、温度変化、励磁突入電流による電磁機械力等)がかかり巻線の層間短絡に至る。
このような変圧器は、① 絶縁油の油中ガス分析の周期を短くし監視強化する、② 何らかのダメージは受けているため早急に更新計画をする、などの対応策が必要です。 変圧器の日常点検と定期点検については、質疑応答2024-0337〔変圧器の日常点検と定期点検〕を参照して下さい。
(産業用電気設備関係の方からの回答です)
Kameda Kazuyuki Edited answer